カレーパンの季節ですね🐰

そんな季節はない（無慈悲）
カレーパンの季節はないですが、カレーパンを小さい口で食べる話の元ネタは「スパイラル推理の絆」の小説版の鳴海清隆さんです。清隆さんっていっつもそうですよね！の典型例の話です。

永斎（永×🐰斎）のカルデアでの話です。
主にウサギ斎がアホなことをやっています。いつも通りです。
最後の方、別のカルデアの永倉さんとの会話だけになりますが、動物化した時にお世話になったくろわしさん宅の永倉さんがモデルです。pixivで子猫ちゃん斎藤さんを飼っている姿を見られるのでぜひ。急に失礼しました。

ウサギになって三割どころか五割増しくらいアホの子になっている気がするんですが、これはもう仕方ない気がした。

 

 

新作カレーパン

 

●REC

「ん？」

　目が覚めたら新八がいなかった。もうお昼……今日は休みのはずだったのに、急に周回かサポートに呼ばれたのかもしれない、と思いながらも、せっかくの休みだったから構ってもらったのに、と少し残念になりつつ、新八がさっきまでいたらしいベッドのシーツをてしてし叩いてみる。

「……」

　着物、ない……。急いでいたんだと思うけども……。せめてなんか欲しかった、と思いながら少しがっかりしながらもうさぎになってしまった耳を擦っていたら、どこからか油ものの香りがした。

「んみ？」

　あれ？　コロッケとも違う、し？　天ぷら？　とんかつとかとも、違う？
　そう思ってその発生源を探して文机の上を見たら、紙にくるまった揚げ物を見つけた。

「？……！　カレーパン！」

　そう言って温かい包みを開けてから、思わず部屋を見回してしまう。新八、いないけど……。
　新八の部屋は少しというかだいぶ変な感じで、ベッドなのに一画に畳の部分があって、文机があって、硯や筆もあるのにその割に何だかんだ普通の机に端末もあるから器用だと思うのだけれど、でもそのカレーパンは文机に乗っていたから、新八が食べたくて買ったものかもしれない……。でも……。

「新発売のやつ……」

　ビーマさんとエミヤさんの共同開発のカレーパン……。まだあったかい……。さすがに蕎麦に入れる気にはならないし、エミヤさんに冗談でそう言ったら凄い顔されたけども、カレーパン自体があまりなじみのない食べ物なのもあって好きになったものでもあった。カレーを気軽に食べられるって言ったらホームズさんが渋い顔をしてたけど。
　その新作だから食べたかったけども、新八と食堂に行くときは人気商品なのもあってだいたい売切れてて、だから……でも……。

「……そうだ！　新八が悪いんだ！」

　そうだ！　野生……じゃ、ないけど、動物……じゃないけども！　ほんとはウサギじゃないけども！　だけどもうさぎの前に食べ物を無防備に置いていくなんて、そんなことをしたら奪われるなんてそんなの自然の摂理だから、これは新八が悪い！

「ということでこの新作揚げたてカレーパンは僕が頂きますか」

　ふふ、悪いことしてるけどそれもまた美味しい……。あ、でも。

「うーん、美味しいんだけどもカレーパンって一口でパクっといくと油つくから食べる時気ィ遣うんだよね……」

　前にそう言ったら沖田ちゃんから『女子高生？』とか失礼なこと言われたけども、それは僕にも女子高生にも失礼だと思う。だって口の周りに油着くの嫌じゃんってウサギ化する前から言ってたけども、と思いながらもそもそカレーパンを食べ始めた。

「美味しい！　え、やっぱりあったかいし揚げたて！　ちょっとカリッとしてる！」

　すごい！　まだ表面がカリっとしてる！　ほんとに揚げたてだ！　これは中のルーというか。

「具の味が気になりますねぇ……」

　そう笑いながらぱくりと食べた時だった。

「んみっ！？！？！？」

　！？！？！？

＊

「……」
「可愛いだろ」
「いや、待て、俺は何を見せられているんだ」
「だから、カレーパン盗み食いしたうちの仔ウサギ斎藤の動画」
「いやいやいや！？　もんどりうってるぞ！？　ていうか盗撮かよ！？」
「盗撮？　変なこと言うなよ、俺の部屋だぞ？」
「待て、何仕込んだ？」
「仕込んでねえよ。中辛に耐えられなかったんだ。可愛いだろ」
「待て、おまえ絶対分かってただろ！？」
「だってよぉ、人間そのものの時は辛口でも何でも食ってたし」
「興味本位だろ、もしくはなんかの薄ぎたねぇ意図があって」
「まあ薄汚くはないが、このあとちゃんと泣きながら食べちまったことと辛かったことを必死に伝えてきて可愛かった」
「食べるの分かってて置いたの自分のくせに趣味悪……」
「その後一緒に甘口買いに行ったし、泣きながら謝ってくるの可愛いし」
「クソが……」
「そもそもカレーパンの油つくのがいやでもそもそ小さい口で食うの可愛くねぇか？」
「だ、ま、れ！！」