ぶっちぎり茶の湯バトルの石田三成の話ですが、三成さんがカルデアにいます。なのにクコチーが出てくる。クコチーは別にカルデアにいないからぶっちぎり茶の湯バトルと言ったんですが……三成君の強化クエストみたいな話じゃないでしょうか?(ふんわりした設定)
奏章も終わったし、華を集めるのも飽きてきたのでぶっ茶バトルとキ神計画反復横跳びしてる。「決戦!暗黒関ヶ原」辺りからみんな苦しみ始めるし、「君が死んだ日」辺りから読むと誤チェスト見られるし、どっちも苦しんでる人たちが美味しい。この管理人狂ったのかな。
何も書けなくなっているので本能だけで書いています。可哀想だなあと思っていただけると幸いです。(ハードルを地面に埋める作業)
ぶっ茶バトル何回読んでも思うんですけども、三成くんに必要なのってどっちかっていうとデチューンだと思うよ、という話です。頑張りすぎというか、それ以前の問題だとシナリオ中でも森君がちらっと言ってたけどもね。
「それはおまえのやることか?」ということまでやっていくのは三成のいいところであり、同時にハラハラするところだよねっていうはなし。
「例えばそれはどんな理由だ?」
クコチヒコに問われてふと言葉に詰まった。どんな理由? と。
*
たまたま再会した、「そういうことってありますよね!」とカルデアにいる通信先の邪馬台国の女王殿には言われたが、「カルデアはおかしい」とはっきりきっぱり言ったクコチヒコの方が私にははるかに分かりやすいが。
事の起こりは微小な特異点だった。場所や年代は覚えていないが、マスターに帯同したはずが、結果的にマスターが帰って私が取り残された。脅威はないが、なぜかそこにいたクコチヒコと野営をしている。明日には魔力リソースが回って回収される、らしい。
「頭が痛い……」
「言うな。というかせめて壱与か卑弥呼に言え。こちらは関係ない、むしろ巻き込まれたんだぞ!」
現地サーヴァントがクコチヒコさんだったみたいです! と通信越しの壱与殿に元気よく言われたが、それはそれでどうなんだろう。ここどこなんだろう、と思うこと自体が間違いなのだろうか。間違いなのだろうな、と思いながら熾した火を見ながらぼんやりしていたら、クコチヒコに言われた。
「前から思っていたが、おまえ案外野営だのそういったことが出来る方だな」
「は?」
「いや、見くびっている訳ではないが……。芹沢や山南に出来なかったという訳でもなく、なんというか、割と身分が高かったのだろう?」
「ああ、それか。茶々様に言われはしたが、戦などいくらでも経験はある」
「気にしているのか」
「別に」
不貞腐れている、訳ではないし、あの時に挑発とはいえ戦下手と茶々様に言われたことなど本当のことだからどうでもいいのだが、というか終わったことだ。だがこの状況が面倒になっているのは嘘ではない、と思いながらも、確かに自分はそこまで高い身分ではないが、それはそれとして時代としてもある種の統治的な身分としてもそうかもしれない、と考えてからふと火を見た。
「だが、戦がなくなればいいと思ったことは何度もある」
「……ほう?」
「というか、そのためだけに生きてきたのに叶わなかった、本当に。戦がなく、民が平和であるために戦ったのに、なぜみなやめぬのだろう、従わぬのだろうと思えば、法が苛烈になるのも、戦が収まらぬのも仕方がないと思うことはあった」
そう言えばクコチヒコは煮込んでいた鍋を見て、それから器に盛ったそれをこちらに寄越してから聞いた。
「例えばそれはどんな理由だ?」
クコチヒコに問われてふと言葉に詰まった。どんな理由? と。
「は?」
一瞬言葉に詰まって、言葉を失ってから、すぐに疑問が湧き出た。どんな理由? それは今言っただろう。
「だから、どんなに戦っても、どんなに罰してもなにも変わらなくて」
言った言葉にクコチヒコは少し面倒そうな顔をした。その顔が誰かに似ている。
刑部殿か? 左近か?
違う。違うはずだ。
「だから、おまえはそう言うだろうがおまえ自身もその戦を起こす側で、法を敷く側だったろう? そうして罰する側でもあった。だから、それはどんな理由だったのだ、と聞いてる」
「そ、れは」
『治部殿は何故そこまで自身を追い込む? 今豊臣はこの状況だ。おまえ一人で何が出来る?』
『なんで殿が責められるんですか? それは豊臣のやったことで別に三成様のやったことじゃない』
だが、そうやって投げ出しただろう? 清正が、正則が、家康が、利家殿が、秀頼様がご自身が、豊臣を、投げ出しただろう?
「だ、か、ら」
「吾の話をすればな、国のためだとは思った。というか狗奴というのはそういう国だった。残念だが、というか邪馬台がおかしいのだ。狩猟ではなく作物を作るというのは狡い」
「狡い……?」
「定期的に民を食わせるたくわえがあるというだけで狡いよ。卑弥呼とその弟にはそれが出来た。天候を操る、というほど大掛かりではなくても、天候の大まかな内容を占い、吉兆の大まかなそれを占える巫がいるなら作物は育つ。狩猟と違って運任せではないから、たくわえがあれば人心は荒まぬ。そうなれば国は落ち着く」
そう言って彼はその汁物を食べて息をついた。それは国を任されて、そうして上手くいかなかったと告白するにはあまりにも……いや、投げ出した訳では、ないはずなのに。
「だから壱与には悪いことをした。滅びの巫女とは言ったがな、本当はそういう巫女が欲しかった。だが、欲しいと思って手に入るほど容易くはないし、そういう意味で自分自身の持っていた術も、壱与自身の才能も、どれも上手くは噛み合わず、そうして強要しようと、隠そうと、どちらにしろ狗奴自体は滅んだと思う」
あっさりとそう言ったクコチヒコに、この男はこんなにも饒舌だっただろうか、と思う。そう思うとどうしてか、私は彼に似ても似つかぬ友と臣を思い出す。
「だがまあ、その責任は吾にあったから良かったとは思う。結果的にだが、壱与に術を教えたことも卑弥呼の元で役に立ったようだし、あの後でずいぶん長いこと苦労はさせたが黄泉路の境で壱与もよく働いた。それに何よりも狗奴の滅びの原因で、その最後は吾になったのだから」
「それが、理由か?」
その言葉に口をついて出たそれに、クコチヒコは溜息をついて頷いた。
「そうだ。吾には理由があり、そうしてそれをするだけの……いや、三成、おまえに責任がなかったとは言わぬ。だがな、吾は自分が正義だったとも思わぬが、それしか方法がなかったとは思っている。それしか方法がなかった時に、自身が戦を起こし、誰かを罰する、そういう時にそれに見合った重さが必要にはなるだろう」
足りなかったと言いたいのか?
「豊臣には私では足りなかったのか? 責めを負うには私では足りなかったから、誰もが投げ出しても、私では不相応だから、誰もが!」
ああ、あの邪馬台国での茶々様と鶴松様との別れを以てしても、そのカルデアでの再会を果たしても、私はどうしても度し難い。だから。
「そうではない」
『そうではない』
『そうじゃないです』
いつか言われたそれと同じことを、彼は言う。
「それはおまえが背負うべき責だったか?」
*
『それではおまえは太閤殿下のなさったことも、これから起こることも、すべてを一人でやりきるということになる。そんなことが出来るはずがない』
違う、出来るのではない。やらねばならない。
『そんなことをしたらじゃあ殿は、三成様はどうなるんです? 豊臣はいいですけどここは?』
そんなことを言っている場合ではない、ないはずなのに。
『それともあなたは、その首でこの天下を贖えるとでも思ったのか?』
黙れ、家康、逆臣が、私の前で口を開くな
『可笑しなことを言う。私はあなたの臣ではない。少なくとも、豊臣のそれではあったかもしれませんけど』
笑った男に、わたし、は――
*
「あさ……」
「朝だな」
クコチヒコは平然とそう言って火の始末をしていた。そういえば駒姫殿と一緒に見ることになったキャンプ動画で「火の始末はしっかり!」というのがあって、ああ、帰り際、とぼんやり思った。
「明日になればとかなんとか壱与が言っていたが、帰れるのか? 帰れるのならいいんだが、居座るなよ? 吾も帰れなくなりそうだ」
「そう、だな」
「少しは答えが出たか? 考えすぎがおまえの悪い癖だが、考え無しもおまえの悪い癖だ。どうにも極端な男だよ、本当に」
答え、と言われて反芻した。
サーヴァントは夢を見ないという。
だが、あれはどうしたって夢だ。
刑部殿と左近の言葉が記憶そのものだとしても、私は家康とあのような会話をした覚えはない。ないはずだ、おそらく。
「むしろ死に際だろうとそう問われていれば気付いたかもしれぬが、そうだとしてもおまえのことを逆臣と言わず何と言う……」
今更だがな、と呟いて改めてクコチヒコを見た。
「出来る範囲の責任というなら、今の私は茶々様を守らねばならず、マスターを守らねばならぬ」
「それで十分だろうよ。そういうものだ、あまり多くを抱え込むな」
そう言ってクコチヒコが立ち上がった時に唐突に通信が開いて、そこにいたのは壱与殿だった。
『あのですね、怒られると思ってですね』
「少なくとも吾は怒っているな。おまえか、やはりこの拙さはおまえか」
『うわーん、やっぱりバレてるし怒ってる、怒ってる! どうせ私は滅び&卑弥呼さんの後継とは名ばかりのコールセンター職員……』
「あの時の自信はどうした……で、三成の件だな?」
呆れかえったふうのクコチヒコに言われた壱与殿が泣きながら通信越しに言った。
『すみません、すみません、石田さんのスキルの調整と強化が必要で、だけども戦闘とかだとマスターさんにバレるし、そうじゃなくてそういうなんかこう、クコチヒコさんならいいかなって』
「なんだかんだ言いながらわりと力業だな……死んでるんだぞ、吾は」
『だから怒られると思ったって言ってるのにー、謝ってるのにー!』
「謝ってないだろ、それは……」
クコチヒコが大きく息をついて言ってからふと手を見た。何か変わった、のだろうか?
「私は……そうだな。カルデアだの世界だのを守れるとは思わぬ。だが、少なくとも以前に果たせなかった通りに茶々様をお守りしたい。そうして契約した相手であるマスターを守りたい。それだけで十分な気がする。これで」
いいのか?
と誰に問えばいいだろう。それを問うべき相手はあまりに多い。
クコチヒコか、刑部殿か、左近か、清正達か、それとも秀吉様その人か。
「おまえがいいならいいんじゃないのか?」
問いかける前に男は笑った。ひどく懐かしい気がしたその声と笑顔に、私はやっと続いて来た何かを始められる気がした。
終わったのではなくて、始められるのだとそう思えたのなら、これでいいのかもしれない、と。