この二人も久しぶりですが、相変わらず殴り合っているなあと思いました。天草は個人的にシロセミが好きなのでもっといちゃついて欲しいです。あと信綱さんは早く実装されてほしいんだけどもカルデア来たらあの人胃薬手離せないタイプだろうと思います。
そんな二人のカルデアでの会話ですが、天草による弁神論。もっといろいろ書いてあったのですが、話が長くなったのでばっさりカットしました。もっとちゃんと書けば入れられたのかもしれません。この天草の世界と救済についての話がずっとあるのでまとめる時に長く出来たらいいですね。とんだ迷惑だよね、信綱さんとしては。
「信じる、という行為は難しいです」
「そうだろうか」
「ええ、まあ。私が言うんだから間違いないですよ」
「それはそうだろうか? お前ほどに信じるということにおいて並び立つ者はないと思う」
「……光栄です」
「ないと思えばこそ、私はあの戦でそこが地獄と自分自身で思いながらも焼き尽くした。なぜなら、信じる者が残る限りはその根を絶やさねばならぬと思ったからだ」
「そうであればあなたはやはり『信じる』という行為の難しさを知っている。そうして私は『信じる』という行為を捨てた。あるいは、あなたによって捨てることになったと言ってもいい」
天草四郎の言葉にふとその青年の顔を見た。彼は微笑して語り続ける。
「私は主とその御子を信じて『いました』。善は救われ、悪は討たれる、そのような低い階層で信じていたと信じくはなかったが、そう信じていればこそ私は戦ったのでしょう」
「だが救われなかった、と?」
「そうです。私たちは敗れた。救いはなかった、と思った。だから私はすべての者が善であれば、すべての者に救いがもたらされるというその『信仰』を基にした願望を持ってしまった。それはつまり主と御子への裏切りです」
なぜ、と口にする前に彼は続ける。まるで独り言のように。
「なぜって私は主とその御子を信じていながら、その善がなされないことを嘆き、その善はなされるはずだと叫び続けた。それが裏切りでなくなんでしょう?」
「……は?」
「それはあまりにも幼い。私の信じる神がこの世の全てをつぶさに見守り、この世で起こったあらゆる悪を罰し、あらゆる善に報いるのならば、私たちは永遠に幼子のままでいられる。そうして私たちは何もしなくていい。それは神の仕事だから」
理論上、もしも天上に神がいて、或いは仏でもなんでもいい。そういうものがいて、天草四郎が言うようにすべてを統治しているというのなら、世界は確かに不条理に晒されるはずがない。そうであるなら、これは。
「私はそのような世界を望みました。しかし主も御子もそのような世界を望んではいなかった。人が人を殺し、人を害し、物を壊すのは『人』の罪です。極めて属人的なその罪の考量さえ神に委ねようとしたことのなんと愚かしいことか。人が人に対して犯した罪は人が償うべきだ。神や奇跡に委ねるべきではない……私もあなたも」
そう笑って男はすらりと太刀を抜いた。その切先が顎に触れても私には返すべき言葉が見つからず、そうしてここはカルデアの食堂であって地獄でも島原でもない、ということ程度しか思い浮かばなかったのは、薄情とでも言うべきだろう。
「人類の犯した罪は人類にしか贖罪が許されぬのであれば……カルデアのマスターの行いも、カーマ神の言いようも分かろうというものだな」
「やはりあなたは面白い。ま、冗談ですよ」
そう言って彼は私の顎を軽く掬ってからそのままその刀身を鞘に納めた。
「斬らせる気も償う気もないでしょう? というか、その程度の覚悟であそこまでされたんじゃお笑いですからね」
「まあ、それもそうだな」
「ええ。だから私はマスターが少しだけ心配で、少しだけ憐れに思います。人類に対する救いだとして、それは人類だから成せることです。そうして受難だの義人だのというものは――そうですね。救いも癒しもないのです。それはあなたの仕事なのだから」
食堂に入ってきたマスターとそのファーストサーヴァントに彼は小さく言った。どこか悲しそうに、諦めたように。
「世界の救済の話をしましょう。そこにあなたは含まれないとしても」