永斎、ウサギ斎藤さんの話です。カルデア。流れるようにウサギを植えていく。
なんかウサギのシリアスとほのぼのとえろとかそういう割合がだんだん分からなくなってきたのですが、何度か言っていますがこの二人カルデアにいる時は元々前世で何だかんだあった二人だからそれなりに拗れています。ざっくり。
今回は邪馬台国の女王二人に副長と永倉さんが巻き込まれたようです。斎藤さん?レイシフトできないよ?ウサギには戦闘能力がないし、鬼神丸は永倉さんに取り上げられているから仕方ないね、可愛いから仕方ないね。という話。
というのもありますが斎藤さんが殺気立つ時って、っていうのを考えたという話なので前後左右がけっこう安直です。
永斎🐰だけネタがどんどんたまっていくのと、小説データはジャンル関係なく複数保存しているのですがこの頃どこのクラウドも安心できないのでHDDとかにも入れてるけども、一冊だけ作ろうかなあと思っています。一冊って物理的に一冊だからコピー機で作ろうと思ったんだけども一冊で製本しっかりしたとこないかなとも思っている。
いや、同じ理屈で以前他のやつ紙での保存用に作ってA5で2段にしても千ページ超えて分冊にして頭抱えたことあるからなんとかしたいんですよね……🐰🐰🐰🐰大増殖🐰🐰🐰
機嫌
「………………………」
「機嫌悪そうだな」
「……おまえに言われたくない」
そう一言返して俺は思い切り刀を振るった。血振りのつもりはなかったが、案外ぬめる血はヒュドラと言ったか。流れた血が愛刀に着いていたのは間違いなく、そうして一つ斬っても動くそれは、俺が斬ったところでやっと動きが鈍った。鈍ったところを土方が仕留めた訳だから、この組み合わせも間違いではないのだろうが。
「因みに聞くが、立てるのか?」
「あ? 立てるが? ガッツはおまえも使っただろうが、感謝しろよ? おまえの宝具のバスターをこの副長様が直々に強化してやったんだぞ」
「うるせぇ黙れ! 俺が斬ってなかったらおまえ仕留めきれねぇっていうか立つな! ちなみにって言っただろうが! 俺もおまえも満身創痍だし毒が回ってんだよ! ガッツ使ってんだよ頭までバーサーカーかよ!」
コイツ……理性のある、知性のあるバーサーカーってウソだろ、プロフィールだのなんだのにそう書いてあったし会話が出来るってマスターもマシュの嬢ちゃんも騙されんな! 土方はただの馬鹿だ! 俺も馬鹿だが! と思いながら互いに一旦そのヒュドラの横に座ったところで声がした。
「あーいましたー! 新選組のお二人いましたよ、マスターさん! なんかおっきい蛇も倒れてます!」
あああ、邪馬台国の二代目女王様の声かー、と思いながら顔を上げたらその周囲には既に礼装だか令呪の回復の陣が敷かれていた。
「ほらね、だからこの特異点は新選組のバーサーカー二人大活躍☆ っていう神託が」
「当たってないからこれ!? どう見ても二人とも満身創痍だから、この状況見えてる卑弥呼さん!?」
*
「散々だった……」
「こっちの台詞だ」
「おまえに言ってねぇ……」
カルデアに帰還してから土方と言い合ってみたが、口で言い合う程度しかどうしたってやることがない。検査だなんだは毒を受けていたから仕方がないのだが。
『今回の特異点はアレ! 新選組の狂戦士二人で解決できる! 卑弥呼様を信じていいわよ!』
……それを信じた結果、ヒュドラ討伐にマスターもマシュの嬢ちゃんも、何なら卑弥呼様も壱与さんも参加していない、本気で俺と土方だけで仕留めた訳だから当たっているといえば当たっているのだが、結果は当たっているとして、内容がひどすぎる。
二人とも戦闘続行使っているわ、それを発動した理由が毒のダメージだわ、ほぼ一撃で仕留めきれずに互いに補い合ったダメージで仕留めるわ……仕舞いにゃどっちも立ち上がれないんだから、これは……。
「いや、鍛錬不足か。そうとも言えるな」
「おまえのそういう前向きすぎて猪突猛進な思考回路だけは尊敬する、永倉」
「あ?」
「そのままシミュレーターには行くなよ、死ぬぞ?」
「っるせーな」
「やっぱり機嫌悪いんじゃねぇか」
溜息と共に土方に言われて、何だかんだと荒ぶっていたというよりも昂っていたのは戦場だったからか、と思えば、こいつはそれなりに冷静というか軍略まではいかないがそういうこともできる男だったなと思いながらもやはり頭にくる。頭にくるんだが……。
「……どうでもいい」
「……吹っ切れやがった」
「斎藤吸いたい」
「……俺の前で言い出すとは壊れやがったか、勝手にしろ」
吐き捨てられたがそれこそどうでもいい。面倒なことに少しだけ長期間になったこのレイシフトの時間は予想していなかった。今頃巣から出られなくなってとか匂いが薄くなってとかなんとかそこまで説明する義理はない、と思ったが、土方はふとこちらを見て笑った。
「おまえの機嫌の好悪が分かりやすいのは美徳だと思ってるがな」
「あ? まだなんかあんのか?」
「いや? 沖田を見てると分かりやすいが、動物ってのはそういうのに敏感だと思っただけだ。ああ、これは沖田のことをどうこう言ってる訳でもないし、下に見てる訳でもない。それならそれが分かりやすいおまえのことも下に見てると言わなきゃならなくなるしなぁ?」
「……回りくどい」
他にも思うことはあったが、とりあえずは思ったことをそのまま口にした。土方の話は帰結はするが、どうにも回りくどい。そうしてコイツがそういう話し方をする時はだいたい裏があるかこちらを馬鹿にしている時だと知っている。
「勘ってヤツかも知んねぇな。こっちの感情だの機嫌だの、怒気だのそういうもんに妙に敏感な時があると獣じゃねぇが沖田を見てると思うだけだ。それがおまえは分かりやすいし、隠す気もないんだろうが、それが美徳だって言ってんだよ」
……本当に回りくどい。機嫌の良し悪しや感情に動物は敏感だが、そもそも俺はそれを隠すのに向いていない。そうしてそれが美徳だと。
「気を付ける」
「馬鹿なりに話が早くて助かるが、まあ好きにしろよ」
そう言って廊下で別れた先、自室の前で少しだけ考えてしまう。言われてしまうと、というところはあったが、機嫌もそうだが、血糊は落としたし、いや、それ以前に。
「期間が開き過ぎて……っ!?」
ふと呟いた時に、どうするか、と思う間もなく自動扉が内側から開いた。
「新八、来た、大丈夫?」
「だから、部屋は勝手に中から開けるな!」
いつも通りの小言を言ったつもりだったのだが、ぺたんと耳を垂らした半分ウサギになったままの斎藤は、その垂れた耳に反するように強い力でいつもとは打って変わって反抗するようにこちらを引っ張って部屋にいれると、そのまま自動扉のロックを掛ける。
「オイ、さいと」
「鍵……鍵掛けて……」
「?」
オートロックに加えての施錠をして、何度も入念にその扉を確認してからこちらを振り返り、ウサギになってからでは考えられないとはいっても生前や普段なら当たり前のような強い力で引っ張られて、案の定うず高く作られていた巣に格納された。
「斎藤、ちょっとまて、どうした?」
「そこいて」
「は?」
すぐに巣に入ってくるか、不安か何かで泣き出すかと思ったのに、とどこか何か心配もあるが期待というか下心まではいかないが、こっちもずっとレイシフトだったし抱えていたい、毛並みくらいは満喫したいくらいの気持ちはあったのだが、斎藤はどこか憤然とした面持ちで俺だけを巣に突っ込んでこちらを見下ろしている。
「斎藤?」
「怪我してるだろ、馬鹿だな。血の匂いする。ガッツも使ったみたいだし、毒……? ヒュドラだな。ほんっと馬鹿」
気が付いたら耳はピンと立っていて、怒っている……訳ではないと思いたいが、どこか苛立っているようにも見えるし、何よりも警戒が凄まじい。
「斎藤、少し落ち着け」
「落ち着いてる!」
叫ばれたがそうも言っていられないだろう。これは斎藤本人が誰かを斬った後のような殺気立ち方だ、と思うとどうにも怖くなった。
必死に記憶を漁れば『ウサギは見た目以上に縄張り意識が強く、警戒心も高い』という資料で読んだ一文を思い出す。それに加えて土方に言われた動物は感情その他に敏感になる、ということ。
(同調か? 縄張りを侵犯されたみたいに? いや、それより)
それよりも問題なのは、まるで斎藤本人が誰かを斬った後のようだとして、それが殺気立っているとして、その昂り方が恐怖になっているように見えることだった。
……斎藤だっていつまでも子供じゃなかった。俺がいくら子供みたいに扱っていたとしても。
……そんなことがあっちゃならないと分かっていても、いつかは慣れていった。慣れていってもそこにいたそれが正しかったのかもしれなくても、間違いだったのかもしれなくても。
だから俺は、斎藤がこんなにも殺気立っているのを見たのは久しぶりだった。本当に初めて誰かを斬った時のように、誰かに仲間が斬られた時のように。怯えるのとも違うその殺気立ち方が、だから。
「斎藤、こっち来い」
「やだ。また逃げる。新八は馬鹿だから見張ってないとまた逃げるし、この部屋だって誰が来るか分かんないから音」
そう言って青い耳がくるりと器用に回る。聞くところによるとウサギの耳は全方位の音を警戒して聞くことが出来るらしい。実際に今の斎藤の耳がそういう使い方出来るとは思えねぇんだけども……。
「どうせ逃げる。だから、ここの巣は安全だってしとかないと、また逃げて、そうやってまた置いて行かれて……」
泣きそうに歪んだ顔と声で言われてやっと思い至った。ああそうか。
「悪かった」
「っ……! やめっ!」
巣に押し込まれたままで華奢な斎藤を引っ張れば、斎藤はシーツだの俺の着物だので柔らかいがうずたかくなっていたそこに簡単に倒れ込んだからそのまま抱え込む。
「やめろ、放せ!」
「大丈夫だから、落ち着け」
そう言って耳を撫でて、それから目を見てみたら泣きそうなその瞳に悔しくなった。悔しい、か。
「悪かった、ほんとに。そうか、そうだよな。おまえは克服したのに、そうやって俺は斎藤の恐怖とか怯えの源泉になっちまってんだな」
「……」
口にしたそれに、今度こそ本当にぽろぽろと泣き出した斎藤を抱き込めばだいたいのことが分かって自分自身の不甲斐なさが身に染みた。
……斎藤だっていつまでも子供じゃなかった。俺がいくら子供みたいに扱っていたとしても。
……そんなことがあっちゃならないと分かっていても、いつかは慣れていった。慣れていってもそこにいたそれが正しかったのかもしれなくても、間違いだったのかもしれなくても。
だけれど、その感情を、殺気立つような恐怖を思い出させるのが、彼を一顧だにせずに捨て去って、それが斎藤の選択だと、おまえ自身が選んだのだからと、まるで選べることが大人になったことのように、自分が選ばれなかった責任を、愛されなかった理由を彼に押し付けて投げ捨てた俺自身なのだと思ったら、それはどうしようもない程に馬鹿馬鹿しくて、どうしようもない程に腹が立った。もちろん自分自身に。
「どうしてこう、俺はいっつも遅いんだろうな」
「また、どっか行くんじゃないかって、ごめ、ん」
「謝んな。おまえは悪くない。ってか寂しかったろ」
「寂し、けど、毒と怪我したって、通信……また、置いてかれるって……」
泣きながらそう言ってくっついてきた斎藤の柔らかい髪を梳いて、軽く口付ける。必死に作って待っていたこの巣だって何度も作り直した形跡があるし、そもそも俺が部屋の前に来た瞬間に開けたんだから、警戒の仕方もすごいことになっていたんだろう。神経がすり減っているのも確かだろうし、疲れているのも本当だと思ったら、こっちもレイシフト後ではあるんだが、むしろ斎藤の方が心配になるのも道理だろう。
それになによりも。
「押し付けて悪かった」
「そうじゃ、ないけど……」
「分かってるから、大丈夫だってのも違うな。何回だって言うけども、おまえの思いも考えも、押し付けたり決めつけたりしない。おまえだけのせいにはしない」
「そうじゃなくて」
腕の中で丸まる毛玉を抱えながらぼんやりと寝てしまおうと思った。少なくとも今はそれでもいいのではないか、と。
それでは駄目だったのだけれど。
あの場所にはいつも活気があったのに、あの場所にはいつも血の匂いと陰惨な気配がした。
その中で互いに拾い上げたものがあったとして、だからそれは。
「機嫌、感情か」
「しんぱち、痛くない? 眠い?」
「痛くはないが眠い。抱えたままでもいいか」
「ん……僕も眠いし……」
ずっと気を張っていたのだろう斎藤がもぞもぞと腕の中で動いた。
気配、機嫌、感情。
痛覚、血糊、怨嗟。
「敏感なのは別に動物だからじゃねぇよ」
やっと安心できたのか、腕の中でスヤスヤと眠り出した斎藤を抱えたままで、俺も眠ろうと思いながら、意識が落ちる狭間に柔らかな藍色の髪に手を触れて、それが汚れていないことを確かめた。
「元々だ。向いてねぇんだよ」
だから可愛いけれど、だからどうしても伝えきれなくて、だから手離してしまった後に気が付いて。
だから。
「今度こそちゃんとここにいるから寝てろ。……おやすみ」
遅ればせながら拝読しました!!
やはり緋雨さん家の永斎は可愛い……可愛くて心がウサウサします🐰癒し……🙏
永倉さんが怪我して帰ってきて機嫌が悪い斎🐰ちゃん……!「落ち着いてる!」の叫びがもう心に痛くて、永倉さんのことが心配なんだよね……!と思わず泣きそうになっちゃいました😭相思相愛で愛し合ってるはずなのに、いえ、だからこそ、一抹の寂しさが残る緋雨さん家の永斎大好きです……!
最近ちょっと個人的に元気がなかったのですが、緋雨さんの永斎を拝読して元気になりました!やはり永斎は良い、万病に効く
日記やお知らせを拝見しました。ご無理はなさらずご自愛ください💦陰ながら応援しております💦
いつも心温まる可愛いお話をありがとうございます。緋雨さんの永斎が大好きです!
ありがとうございます!!
心がウササウしてよかったです🐰🐰🐰!
心配したり寂しくなったり、なんかこう、やっと相思相愛でいちゃついてるくせにいつもどこかで不安そうにしている二人なんですが、大好きと言っていただけて嬉しいです🐰!
そしてくろわしさんお疲れ様です。季節の変わり目というかもう気温や気圧の変動が激しすぎますし、ご無理だけはなさらないでください💦
永斎やウサギやネコは万病に効くのでどんどん吸っていきましょう!うちので良ければどんどん吸ってください!
私の方は週末ぐだぐだ休んでいたらだいぶまともになってきました。ご心配いただきありがとうございます。
わーい!いつもありがとうございます!また永斎いっぱい書きます!