風邪(永斎🐰「雨の日」時空)

永斎のウサギ現パロシリーズの「雨の日」の話です。
何のことですか?というのは一話目がサイトの方にあります。サイトの方も年末までに何とかHTMLにしたいんですが眠くてHTMLの記述ミスやらかしそうですみません。改装が進まない……。

そういう訳で、永倉さんが風邪を引いたようです。
風邪を引いたっていうのよく書いている気がしますが、永倉さんの方が風邪を引いたらどうなるんだろうなと思って書きました。あの人風邪とか引くんだろうか。むしろ斎藤さんが死にそうになるんじゃないかなとか思ってそんな話。ウサギなのは最近、「雨の日」のなんかこう、砂糖たっぷりのお茶みたいな話を私が読みたかったからです!(自給自足)
この頃ウサギはウサギでもウサギ成分と甘み成分が足りていなかったので満足です。

🐰植えるんだよぉ!という。🐰の話だけの本を作ってからもずっと🐰の永斎🐰だけ話が増えていくので🐰だけまとめた本を作りたいなと思ってしまいました。自分のためだから1冊でいいんだけど、表紙切り抜いたりなんかウサウサしい装丁にしたいけど、装丁にこだわると10冊からとかになりそうなんですが、10冊くらいなら維那殿か室中に仕舞っておいても許されると思うという悪いことを考えています。

それはそのうち作ることを考えるとして、ウサギウサギしている永倉さんが風邪を引いた日の🐰斎です。

 

風邪

「あー、これ風邪だわ。山南先生んとこ寄って帰るから斎藤……じゃなくてはじめのことよろしく」
「ハァ? 仕事もはじめもぶん投げんな!」
「福利厚生って言うんだよ! よく考えなくても明日から大学年末年始の休みだし」

 兄貴にそう言って、デスクのPCやら書類やらを片付ける。

「ぜってー混んでる……」

 この時期だし、と呟いて外を見てしまう。この時間だと仕事帰りだけでなく下校時間やら何やらも相まって、診察時間はかなり待たされそうだ。それにしたってそもそも咳出るし、一緒の部屋じゃうつしそうだから、仕方ねぇ、兄貴に預かってもらうか……。

 気管支炎だね、と山南先生に診断されて薬をもらった時にはもう夜の7時だった。法外な時間なのに診察を続ける山南先生も笑顔だったが心なしかぐったりしているように見えるのも気のせいではないだろう。『流行っていますから』と言ってはいたが、年末手前、というのや、それこそ斎藤の大学のように年末年始の休みに入る前の学生や、小中高もそろそろ終わりか、そこでも集団発生している風邪なのか。

「ますます斎藤にうつさねぇようにしねぇと……」

 山南先生のクリニックでさえこの繁盛具合じゃ、たぶん半獣も罹るんだろう、と思っていたら案の定、こちらも合わせるように営業時間を延長していた調剤薬局の薬剤師さんに「共通の薬です。気を付けてくださいね」と念を押された。つまるところは感染経路は同じか、と思ってそのまま家に着いた時には8時になっていた。まあ仕事でもこんくらいかもっと遅い日もあるし、と思い直して玄関を開けたところで、そこに仁王立ちしていたのがうちのウサギかつ俺のパートナーだった。

「何やってんだ」
「……いや、おまえが何やってんだ。兄貴に言ってあっただろ、不本意だが兄貴の部屋行け。うつるぞ?」

 ぴんと藍色の耳を真っ直ぐに立てた斎藤はかなり警戒しているというよりはお怒りのご様子、と思いつつも、呼び方が斎藤になる程度には疲れているというか、自分でも分かるくらい体調が悪いようだ、と思いながらそれでもやっぱり折角明日から休みのコイツにうつすわけには、と家の中にいるだろう兄貴に回収を頼もうとしたら、その斎藤から引きずられていた。

「おいっ!?」
「靴脱げ、部屋!」
「だから!」

 反駁しようとしたが、成長期? 遅れてきたのか? と思うほどそこまで年齢差がある訳ではないハズなんだが(いや、結構あるか?)弱っているのもあって斎藤に半ば引きずられる形で部屋に連れていかれていた。二階だぞ、ここ……。

「弱っちい……」
「何言ってんだおまえ……」
「ほら、晩飯。おかゆとかスープとかあるから」
「は?」
「ごはん! 兄さんに聞いてお母さんが作ってくれてたの! どうせ熱いと食べられないだろうからちゃんと少し冷ましてあるから……あ、手洗い……」

 今気づいた、というように少ししゅんとしてアルコール消毒のボトルを差し出される。そりゃあ必要かと思ってやっていたが、どこまで準備してるんだ、とぼんやり考えつつも、斎藤といつも一緒にいる部屋のラグの上のテーブルに並べられた飯からラップをはがして温度を確かめているらしい彼をぼんやり眺めてしまう。だめだ、頭回ってねぇ……。

「しんぱち弱っちいから、食べさせてやるから! ちょっとでいいから食べて!」

 そう泣きそうな声で言われてやっといろいろとつながった。

「……心配しすぎて死にそうだとかそういう……」
「べっ、別に、ちがうけど……! 違わないけど!」
「どっちだよ……でもうつるし、こんくらい一人で」
「駄目だって言ってるだろ!」

 そう言ったと思ったら『食べて』と言っていたのにスプーンをひったくられてそのまま掬った粥を向けられた。

「は……?」
「口開けて。新八弱っちい馬鹿っ八だから食わせてやる」

 え、これいわゆる『あーん』とかいうやつ、と思ったんだが、思ったんだが、斎藤泣きそうだし、ていうか食えるわ、とか、萌えとかいうのか? 沖田が言っていた概念とは程遠いどころか、これ最早悲壮感すらあるぞ?

「たべて」
「分かったから泣くな」
「ん」

 ぱくりとそれを食べたら安心したらしく、飲み込んだのを確認して次を持ってくるそれは、雛鳥にでも餌をやっている感じか? と思いながらも、粥とスープを交互に食べさせられているうちに空になっていた食器類に満足したというよりは安心したふうの斎藤は、盆にのせたそれを持ってこちらの手を引く。

「歯磨きして、着替えて。シャワーは……浴びてもいいけどすぐ。風呂は駄目。冷えるから」
「あ?」
「僕はもう食べたしシャワーも浴びたから」
「は?」

 短く返したのはやっぱり意味が分からないからだが、ハッとしたように斎藤は盆を置いて、それから俺の通勤鞄を漁り出した。

「おい?」
「薬!」
「あー、食後だったな」
「飲んで!」
「分かったから、ちょっとおまえ落ち着け斎藤」
「はじめ!」
「分かった、分かったから頼む、落ち着けはじめ」

 なんかもうこっちが風邪引いてるとか言ってられねぇんじゃねぇか、と思いつつも、頭ぼんやりしてきた。なんだこれ、はじめが甲斐甲斐しすぎるからか? ていうかなんだこれ、いや、クリニックで38.5あったからだいぶ熱はあるから疲れてるし、咳は今落ち着いてるけども……咳止め飲めばもっと落ち着くから寝られるだろうが……。

「はじめ、言う通りに歯、磨いて適当にシャワー浴びて寝るから、悪いんだが兄貴んとこで寝てくれ。つーか部屋、リフォーム? 一応結婚はそうなんだがこういうことあると困るし……って! なんだ!?」
「うるさい」

 そう言ったらすごい顔……怒っているのに泣きそうな顔で睨まれるわ、耳が回転し出すわ(周囲を警戒している時だというのは知ってはいるが)で感情がすごいことになっていると思われるはじめに気圧されて、俺は仕方なく階下の洗面台と風呂場に向かった。

「……これは」
「早く入れ」
「だから」
「はやく!」

 そうして部屋に戻ったら、自分のベッドが改造されていた。
 結婚云々以前から、はじめと一緒に住むにあたってほぼ兄弟というか俺が一緒だったのもあり、部屋は一緒だが流石にベッドは別なんだが(まあ高校三年くらいからそーいうことするのが普通になったからあんま意味ねぇけど)、今日はとにかく、と思った自分のベッドが改造されていた。
 ……具体的には掛布団と毛布が規定量の三倍くらい積み上げられていてフカフカだし、なんかはじめのパーカーとかパジャマとか、とにかく外出用ではない普段着が詰め込まれているように見えるんだが……これ……

「巣……?」
「は い れ!」
「いや、まて、ちょっと待て」
「待たない、この巣に入って寝ろ。ここが一番安全だから」

 そう言われてそのままはじめに引っ張られてそのもふもふのウサギの巣、基、はじめの巣に引きずり込まれた。フカっとした感覚と、確かに毛布と空気の層なのか普段以上に暖かなのはそうなんだが、これなんだろう、ここにいていいものなのだろうか、と思ってしまう。

「……」
「……」

 そこに収まった俺を無言でじっと見つめてくるはじめをこちらも無言で見返して、これは相当心配かけてたんだな、とここに至ってやっと思う。ていうか最早おまえが死にそうじゃねぇか、と。

「薬飲んだし、咳は出ねぇけど、熱あるからか眠い」
「初めからそう言えばいいんだ、この馬鹿。寝てろ」
「寝てるまで観察しなくても悪さはしねぇから」
「……ほんとに?」
「ほんとに。はじめに嘘はつかない」

 そう言ったらやっと安心したのかいそいそと巣の中にはじめが入ってくる。だからうつる、と言おうと思ったが、もうなんか考えるのめんどくせぇ……いや、駄目なんだが、熱で頭ぼーっとする。やっと風邪だって自覚出てきた気がするのは、こっちもはじめが近くにいて安心してんのかもしんねぇな。

「ここにいるから、寝てろ」
「おう」

 俺を追い越したはずの背丈をくるりと丸める姿はどこかやはり昔の拾ってきたウサギのままだと思いながらも、腕の中に納まった彼の髪や耳を撫でていたら、薬のせいか熱のせいか、それともその柔らかい熱源のせいか、気が付いたら意識は落ちていた。

「んぁ……?」

 スマホのアラームは鳴らないままにもう朝どころか午前10時を回っている数字を見て、アラーム切ってるって我ながら休む気でいたのか、と思いながらそれを戻そうとしてから、腹の辺りにある熱源に気が付く。

「そういや昨日、なんか巣みたいなところに……」

 風邪で、はじめが甲斐甲斐しくて死にそうで……。

「熱は下がった気がするんだが……」

 そう思いながらふとまだ寝起きでぼんやりする頭で、そういや『ここにいるから』と言ってぴったりくっついてきた斎藤があったかいまま、まだ丸まってるな、と思い出す。

「……湯たんぽ……ウサギたんぽ……ウサたんぽ……」

 何言ってんだ俺は……。

「まだ疲れてんのかな……」

 いや、なんかすごい気持ち良さそうにひとの腕ん中で丸まってるから、コイツ……。

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