短い話をいっぱい書いたのと、花京院とスタクルメンバーと一つずつ会話が出来てしまったので死ぬまでの時系列で整理してみました。当たり前ですが死ぬのでCPはないです。(なにいってんだこいつ)
だいたい死因になる話しかないのでそこはご了承ください。最後のおまけのみ承太郎と高校で会話していますが生存しているのかもしれませんけどもまあ生きてると思ってないので何かあったんじゃないですか(ひどい)。そうして花京院がだいぶキャラ崩壊とかそういう以上にアホの子になっているのでお気を付けください。承太郎先輩、迷惑かけてごめんね。
ここの管理人というか私は花京院は死ぬものと思っているタイプの人間なので、というか死ぬことを含めて花京院が大好きなので、基本的に死因、もしくは「この先死ぬ前提」の話ばかりですが、大丈夫そうな方はどうぞ。
花京院典明の長い話も書きたいのですが、上のような考え方なので原作読み返したり、アニメ見返したりするたびに「好きだなあ」と思うし、死に方も死ぬまでの過程も最高に好きなんですが、要するに死ぬのでグロッキーになるから精神的に書けなくなって短編ばかりです。花京院はどうあがいても死ぬんだけども……死ぬからいいんだけども……。
エメラルドグリーン(ポルナレフと花京院)
「え? 名前?」
考えたことなかった、と答えたらポルナレフは首を傾げた。そっちだってそうだろ、と言ってみたらその通りだったらしく困ったように言われる。
「だよなあ。タロットカードったって、承太郎のはアヴドゥルが付けたんだろ? それにしたってオレの戦車だってお前の法皇だって大アルカナには違いない」
「そりゃあ、そうだけども……」
何だったかなぁ、とそれでもぼんやりと思い出せずに呟いてしまう。「ハイエロファント」、大アルカナ5番、法皇のカードの英語名だ。それに続けて、
「エメラルド……」
「……は?」
「ハイエロファント『エメラルド』。なぁんてね」
「何言ってんだ?」
「いや、多分だけど彼自身から教えてもらったんじゃなかったかな? 「ハイエロファントグリーン」ぴったりでカッコいいだろ? 流石僕の相棒だけある」
そう少し誤魔化すように言ったら呆れたように、諦めたようにポルナレフに溜息をつかれてこの話は終わりだった。
……エメラルドは鉱物としての硬度は高いが、内部に傷が多いために衝撃に弱くすぐに砕ける。
「内部の傷か……」
見透かされてたのかもね。
*
法皇(アヴドゥルと花京院)
「アヴドゥル、妙なことを訊いても構いませんか?」
「ん? どうかしたか? というか寝ないのか?」
夜。火を見ながら呟くように花京院が言った。それから野営には慣れた、とずいぶんなことを言っていたのを思い出す。承太郎はまだしも……いや、承太郎だってそうだが、彼らはまだ学生だ、と思えばこの旅の歪さを思わずにはいられなかった。
「人生の目的とはなんだろう」
「……は?」
「僕は……本当を言うとDIOに恐怖したんじゃあないんだ。アヴドゥルが恐怖を感じたとして、多くのスタンド使いがカリスマを感じたとして、でも僕は違う」
揺れる火を見詰めながら彼は言う。言葉にすることを躊躇うように。
「安心した。僕の法皇の緑が見える人間がそこにいる。それで何もかもがどうでもよくなった。安心できた。そういう世界があるんだと安心した。人生に、世界に安心できた。今では馬鹿だったと思います。でも、それが全部だった」
嘆息のように言われて、生まれながらにスタンドを持っていたためにそれを隠して生きたそのことを考えた。
「僕の人生の目的は……今は正直分からない。でもDIOに会った時は『安心』だった。でも、もしかしたら今もみんなといるのが安心するからそれが目的なのかもしれないと思うと、少し怖いです。同じことをしているように思えてしまって」
苦く笑った花京院に夜だがいいだろう、と火で沸かした湯で淹れたコーヒーに、砂糖を入れて渡した。
「ありがとう」
「ああ。私は占い師だからね、目的や未来に悩む人間は多く見てきた。だが占いというのは当たることも外れることもある」
「当たるも八卦、当たらぬも八卦、というやつか」
「そうだ、日本にはそんな言葉があるな。だから与太話と思って聞けばいい」
そう言えば小さく頷いてコーヒーを飲んだ花京院に言う。
「君に生まれ持って具わっていたスタンドは『ハイエロファント』、すなわちタロットカードの『法皇』だ。法皇のカードが示す中で花京院によく似ているのは協調性や慈悲……本当にこの旅の中で成長したというよりは、本来そういう人間だったんだろうと思うくらいには頑なにチームの中でそれらを守ろうとするからね。だが、法皇のカードの中で君にとって最も重要なのは私が思うに『その人物自身が法であること』だろう」
「……は?」
私の言葉に花京院は驚いたようにこちらを見た。そうだろう、きっと意味が分からないだろうと思ったが、占い師としてというよりは彼を見ているときっと誰でも思うことだ。ジョースターさんどころか承太郎でもポルナレフでも分かる……或いは、DIOでさえ、分かったのかもしれないから、面白半分で放り出してみたのかもしれない、と。
「『法皇』のカードは書物の律法を持たない。それはその確認を必要としないほどに彼自身が法の支配者であることを示す」
「そんなはずがない! たとえそうであるとして、それは『法皇の緑』には相応しくとも、僕には絶対に与えられる権利じゃあない!」
叫んだ花京院の前に指を立ててとりあえず静かにさせる。誰かが起きてしまうかもしれないからね。
「それはそうだ。それは権利ではないからな。権利ではなく義務だ。法皇である限り、その者はそうであらねばならない義務を負う」
「え……?」
「自らを律し、律法の支配者として正しく振舞えない者に『法皇』は与えられない。だから花京院、君がその時その時に選んだものが法になる。何にも頼らずに、何にも書かれずに、君の選択がそのままだ。安心が欲しければそれが、強さが欲しければそれが、平穏が欲しければそれが、君の思いがそのまま法になる。それ程までに、君を示す『法皇の支配』は重い」
そう言えば彼は絶望したように額を抑えて顔を伏せた。こんなことを言うべきではないと思ったが、占い師としても仲間としても嘘は言えない。そうして何よりも、花京院に嘘はつけない。なぜなら。
「そうして私は花京院がそれを正しく使えることを知っているから今そう言った。DIOに頼らないと決めた君だからだ。『法皇の緑』、その名の通り、君は誰にも頼らない。そういうことだよ」
頼れないのではない、5番目の支配者は誰にも頼らない。顔を上げた男はもう苦悩してはいないし、泣いてはいなかった。
「僕は……本当に立てたんだろうか」
私がそれに応えることはなかった。そんな必要はなかったから。きっと彼の相棒が答えてくれる。彼に法皇の称号を与えることを良しとした、かつて傷をもつ緑の宝石と同じ名を持っていたそれが。
「私は占い師だからね」
*
はきそう(ヴァニラ・アイスと花京院典明/ジョセフと花京院)(エジプト上陸前)
「DIO様を見ていると吐きそうです」
「は……?」
花京院が不意に言って笑ったその横顔は、不穏というよりはどこか楽しそうだった、愉しそうだったそれが相も変わらず『人間味に満ちている』とDIO様自身が面白そうに言っていたことを思い返させる。
だからどうせ使い捨てだ、と言われているのを、彼自身が知っているかなぞ興味もないが。
「安心と喜びで満たされ過ぎて、狂い悶えてそのまま許容範囲を超えて吐きそうです」
「人間には高負荷か?」
見当違いなことを言っているな、と自覚はあったそれに、やはり青年は笑った。
「あなたには関係のない話だ」
*
「DIOのこと考えると吐きそうです」
「まあ、そりゃあ花京院はそうだろうよ」
「いや、DIOがどうというより……承太郎とかポルナレフたちのことを考えると、どうせ孤独だー、とか友達いないー、とか喚いていたのは僕自身の問題だと突きつけられて、DIOに安心して屈した自分を思い出して吐きそうで」
「……お前、あのなあ」
言葉は続かなかった。花京院の横顔を見ていてふと思い出すことがあったからだった。
わし、知ってんだよなあ……こういう無駄に精神が真っ当すぎて、人間らしすぎるヤツってそうやって無理するか、早死にするって。……溜息しか出んわ。
*
賭け事(空条承太郎と花京院典明)
「はあ!? 僕の魂を賭けた? それはまだいいが、ホリィさんの魂を賭けたってどういうことだい承太郎!?」
「いや、花京院はその場にいない訳だからと一応止めたんだがな。というかホリィさんの方がまだ正当性があるだろうとさえ思えたぞ、言っていることは筋が通っていると言えば通っていたからな」
アヴドゥルにそう言われたが、納得いかない。僕はまだいい、戦線離脱していたわけで、何より。
「僕はいいとしてだ、別段その場にいても賭けてもらって構わなかったし、君みたいにポーカーでクソみたいな手札のままで勝とうじゃなくて賭け自体から下ろそうなんて思えるほどおめでたくないから」
そう言ったが承太郎の顔は動かない。というか微かに笑っているのが本当に腹が立つ。
「理屈は分かる。確かにホリィさんを助けるためだからあそこで負けたら終わりだし、賭けるのも一理あるが、もう少し家族を大事にしたらどうだ?」
そう吐き捨ててやって、それから「友人・花京院典明の魂を賭ける」と書かれた念書を握り潰す。何が友人だ。何が。
――だから。
「魂を賭けよう」
それなら勝っても負けても魂一つで彼の腕は返ってくるだろう。何せ対価が魂だ。これ以上『友人』とやらの対価に上乗せできそうにないんでね。
*
覚悟(花京院・DIO戦「法皇の結界」)
見えないのが『当たり前』だった。
だから誰にも心を開かなかった。心が開けなかった。
「法皇の緑」に、相棒に心を開いたって、そこにいる彼は僕自身でしかないのだから、どんどんどんどんどんどん孤独になった。
そうすればそうするほど、それは自分のせいだと思った。そうしたら今度は、彼からも見捨てられるのではないかと思ってしまうほどに。
両親が嫌いなわけでも、周りが怖いわけでもないのだと分かっていた。
僕は僕自身が一番嫌いだった。だから、DIOに屈したのだと分かる。
僕は僕が嫌いだから、僕を肯定されれば誰でも良かった。僕が僕を肯定できなかったのだから。
「馬鹿みたいだ……みたい、じゃないな。馬鹿だ」
はっきり口に出してみたらスッキリした。
そうだ。だから。
「以前のように法皇の緑を誰にも見えないようにしてやる!」
口にしたのは覚悟だった。僕は僕自身のそれが、僕自身のこの能力が、僕自身が誰にも見えなくてもいい。その世界で生きてみせる。
DIOになど恐怖を感じない。
僕が真に恐怖を感じていたのはその世界に居場所がないことだ。
それは僕が作らなかったからだ、僕自身が逃げたからだ。
「もう逃げない」
この旅の仲間たちは、僕にこのスタンドがあってもなくても変わりがなかったと今ならはっきり言える。そこにあるのは一人の仲間としての存在でしかない。
「僕には「法皇の緑」がいる。それがなんだ」
いるんだ。いるそれを否定してなんになる。いる人がいる、いない人がいる。
そんなのは、男がいて女がいるのと変わらない。大人がいて子供がいるのと変わらない。
「その程度のことに気が付かせてくれた、その程度のこと、その程度の日常に生きることさえ怯え続けた僕は弱かった。だから!」
だから、僕はもうDIOに恐怖しない。いや、僕はDIOに恐怖していたのではない。
僕が恐怖していたのは世界に、日常に、一人きりだったそこに生きることだった。
もしも僕が恐怖を乗り越えたというのなら、それはただ普通に生きるなどという、当たり前の生からさえ目を逸らした自分自身の弱さを乗り越えただけのこと。
「来い。この結界を破ってみろ」
この覚悟は、お前如きへの恐怖では揺らがない。
「いや」
僕はお前になど恐怖していない。
*
薄情薄氷(花京院典明)
なるべく普通でいようと思った。
どうせ分かり合えないから。
どうせ見えないから。どうせ分かってもらえないから。
だけれど、なるべく普通でいようと思ったのに、気づいたら一人だった。
それは僕が普通でいようとしたんじゃなくて、僕が周りを遠ざけていただけだった。
どうせ どうせ どうせ
だから、結界を全て断ち切られ、腹を貫かれた時に、DIOのそれを何か考えるなどという以前に『ああ死んだな』とどこか冷たく思うしかなかった。それくらいには自分自身さえ遠ざけていたのかもしれないのに、それなのに思い出したの父さんと母さんだった。
「す、みません、こんなの、都合、よすぎ、ますよね」
言えば良かった、寂しいと。いえ、ば、分かって、くれた、かも……みえな、く、て、も、たぶん、だって、このひとたちは、そういうの、関係なかったの、だから、と遠くにかすむ目でジョースターさんを、み、て。
「行ってきます、くらい、いえば、よかった」
ただいまも言えなくて、『すみません』ともう一度思うをとしてから、僕は無理やり思考からそれを吹き飛ばした。考えろ、考えろ、考えろ。そうだ、せめて、ここで死ぬなら、ジョースターさんたちを。
「つくづく薄情な男だな」
無理やり思考を切り替えないと、そんなことも考えられないのか、と。まだその世界に未練があるのか、と、とりあえず余計な血を吐いて回りそうな脳を動かした。
……本当に、どこまでも薄情な男だ。
「悪かったな」
だけれどそんな自分に笑って悪態をつけるくらいには。
「嫌いじゃあ、ないけどね」
*
おまけ(花京院と承太郎・掃除サボってるか放課後)
「そんなことばかり言っているから女も出来ないんだ、うっとうしいぞ、花京院!」
「女の子同士って言ったって僕が言いたいのはこういう女子二人、ないしグループでもいいが、関係性で、更に言えば僕が好きなの現実的なそういうのじゃあなく、百合というかフィクション、ファンタジーだと言っている! メルヘンなんだよ! まさか君はこれを本気でいかがわしい目で見ているのか!? 現実と混同しすぎだ、そうなるとむしろ承太郎が変態じゃないか! エロティックな妄想はいらないと言っているだろうが!」
「見せんでいい! 何が他人との距離の測り方だ、真面目に話を聞いた俺が馬鹿だった! 時間の無駄だ!」
「というか女の子同士は確かに可愛いけれども、僕だって男として現実に好きなのは女性だよ! そういう性嗜好を否定するとかじゃあないが、これはそういう以前の問題だと何度言ったら分かる!?」
「知るかッ!」
「わからんやつだなッ! だから、こういう転校とか初めて会った学校とかの心の交流みたいな関係性の女の子同士の!」
「やかましいッ!」