灰は灰に(DIOとハルノ(ジョルノ))

昨日の「正反対」に返信不要でコメント頂いてありがとうございましたっ!
ジョルノの冷静さとか観察眼とか書けていたなら良かったなあと思います。

そんな感じでDIOとジョルノの話二つ目。
なんというか今更だけどもちょっとした流行り病みたいなものなのでそろそろ落ち着くんじゃないかなと思います。12月くらいからだから、まあそうだね、と。花京院の話をだいぶ書いたから、と思っていたのですがなんかこう、DIO様のことも考えてしまっていたら空条親子も無駄親子も考えたくなるじゃん、と。

そんな感じでDIOとジョルノの次に到来する殺戮者を待つしかない、という話。(概念上の父について、です)
まあDIO様は概念じゃなくて本気でジョルノ君の父親なんだから放棄しないで息子さん何とかしろよと花京院とかポルナレフあたりと棺桶蹴っ飛ばしたいよね☆(ひどい)

 

灰は灰に

「ハルノ」
「なんですか。ああ、このワインは美味しいですね。死蔵していた、までは言いませんが、管理が悪すぎる気がしてどうかと思っていましたが、悪くないものもある」
「あー、酒にはあまり興味がない。興味のある者もいたが、どうせワインでは血の代用にはならないからな」
「それなのにこうやってワインセラーを揃えていたのは金の無駄としか思えません」
「……それはいいんだがハルノ、お前が聞きたいことがあると言うから」
「ああ、そうでしたね。というかその名前で呼ばれるとなんだかイライラするのでやめてもらってもいいですか?」
「ああ……それが聞きたいことか」

 そう言われて余計腹が立った。察しの良い、というよりはおそらく確実に僕よりもずっと頭の良い……いや、経験の差なのだろうか。それとも勘? いずれにしてもそれらは全て実際に生きた年数とか、そういうものに依拠しているように思われて、この「父」という存在にぼんやりとしていた輪郭がはっきりと自分よりも年上の、自分を作った一端なのだと認識させられたからだった。

「日本人だったのはたまたまだ。それについては本当にたまたま。ただまあ、知っているとは思うがそーいう相手の女の中でもなるべく悪性の女だけ生かしておいたのは事実だから、そういう日本人の女だった、としか言いようがない」

 父の長い爪がグラスの縁を掻いた。
 たまたま。
 母が日本人だったのはたまたま。だが母が食糧にもならず、死なずに僕が生まれたのはたまたまではなく、その「食糧」の中でも特に性悪だったから。

「ハハッ」

 そう思うと少し笑えた。

「先に言っておくが、それで例えばお前が死ぬ可能性を考慮していなかったのか、と言われれば考慮はしていたから何人かいた訳だ」
「そうですか」

 じゃあ根本的にこの人は僕に興味がない、道具としての僕にしか、と思ったのに彼は笑う。

「というよりも、だ」

 そう一区切りつけて、グラスのワインをその男は飲み干す。

「自分自身に価値がないと断定して、或いは周りにそう見做されて、その後に立ち上がるには覚悟がいる」
「……は?」
「覚悟と自信と……ある程度の虚勢が。それに耐えられるかどうか」
「何を言っている」

 小さく睨んだ『父』はこちらの視線を気にも留めずにただ笑う。

「そこには正義も悪もない。自分を騙し切る力のない者に、世界は呼応しない」
「どういう、意味ですか?」
「それは自分で考えろ」

 そう、まるで親のようなことを言ってその僕の父親はやっぱり笑った。そうしてそれからもう一度こちらを見て言った。

「だがまあ、ヒントくらいはくれてやろうか? 『世界。時よ止まれ』」
「……え?」

 いつか誰かに、聞いたような、気がする。誰かの、スタンド。
 最初の、あの矢。始まってしまった、あの、矢の。
 ポルナレフ、では、なくて、あれ、誰だ? ポルナレフの? だ、れ、だ?

「お前は今このスタンドが誰のスタンドか考えている。ならば答えよう。これは私のスタンドだ」

 あれ? というか僕はどうしてこの人と話をしているんだ? DIOは、父は既に死んでいるはずで、だから、ここはどこで、何を、きいて?

「『ザ・ワールド』。最強のスタンド使い、空条承太郎? あり得んな。あの男でさえ、このDIOのスタンドの前に屈して、このスタンドを取り込むことでしか私には勝てなかった」

 スタープラチナ・ザ・ワールド? 最強の、スタンド?

 

「時よ止まれ、『世界』は美しい」

 

 ああそうか。父の能力は――

 天国を作ることでも、天国に至ることでも、人を救うことでも、誰かを祝福することでもなく、ただ単に。

 

「あなたは世界を書き換えた。時を止め、その世界を、自分自身のすべてを塗り替えて。それすらもあなたの努力と覚悟の結果なのだとしたら」

 僕の呟きに、父はまた笑って、それからその人ではないだろうと分かる、それでも自分に似ていると思ってしまう瞳で僕を覗き込んだ。

「問おう、ハルノ。お前にその覚悟はあるか?」
「……覚悟はできてる」

 いつもの通りに応えてみれば、父は笑った。何も言わずに、ただ笑った。

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