新版の方まだ買えていなくて、昨日病院帰りにやっと買いました。
面白くて読んでしまった。
「荒木飛呂彦の漫画術」
「荒木飛呂彦の新・漫画術:悪役の作り方」
ですね。
単純明快な感想。
荒木先生やっぱり文章読みやすいなあ、と思いました。
本の中でも何度も触れられていますが、「起承転結」を意識して一章どころか一節ずつ書かれているから話が脱線しないのと、話に必ず終着点があるのでイライラすることが一切ないのは、まさしく漫画術で触れられている通りに「読ませる気があるならそうしないと読者はいらいらして読むのをやめる」というそのままだと思いました。
これは私の個人的な話ですが、新書や論文、紀行文やエッセイだと個人的に分かりやすく丁寧な書き物が好きで、荒木先生の文章はとても読みやすいです。
小説だと話やセリフが前後したり、冗長になったりしてもそれがギミックになったりするんで読み進めていくんですが、そうでない文章の時にはある程度の分かりやすさと丁寧さが欲しいと思っているタイプなので、文体が整った文章しか読まないかもしれない。気が付くと一定の人ばかり読んでいるとかありがち。
内田樹さん、土井善晴先生、村上春樹さんのエッセイ(小説も読むけど小説はそういう意味ではひどい)、白洲正子さん、レヴィナス……レヴィナスは文体は整っていてかなり丁寧なんですが、何言っているか分かんない同語反復が多いので元気な時しか読めない。
そういう意味でマルクスは読みやすいけれども丁寧さがないので読まない、のかもしれない。ラカンは読むけどフロイトは読まない、みたいな違いと同じ。サンスクリット系の専門書は必要で読むけども駄目だなあと思うのはいくら和訳されていても「これを知っている前提で読んでね」という部分が多すぎて辞書を片手に読むので「その時点で先がないだろーが」と思う。
これも比較すると分かりやすいなと思ったのがごく個人的に最近読んだ友人のバイオマテリアルの再生医療というか、そういったものの論文というかそういうものを英文で出したものに和訳と注釈をつけて送ってもらったんですよ、「何がしてーんだお前」って電話でたたき起こされて真面目に寝てたのでさすがに聞いたけども、「賞が取れて上手くいきそうだから読め」と言われて英文、和訳、日本語の原文、注釈と読んで「読めた!読めたし意味が分かったぞ!?」と連絡したら「賞が取れてバカのお前でも読めたなら補助金くらいもらえるだろ」と言われました。馬鹿で悪かったですね。と思ったけども、ここがサンスクリットとかの仏教系の論文と大幅に違うところだと思いました。想定読者を広く取っていて、その人たちに理解してもらって、それで利益が見込めないとその学問に発展性がないし困る、という危機意識があるからこそ書けるものだなあ、と。
そんな感じですでに前置きが長いですが、荒木先生の文章は分かりやすく結論にたどり着き、そうして何より丁寧かつ乱暴なところがないので読みやすいです。
小説書く時にも気を付けなければ……という気づきとかは特にあれなんですが(私のこれ二次創作だからね……)、個人的に気になったところ。
ジョジョ関連
・ディオ・ブランドーの身上調査書は悶える。
いや、先生の手書きの身の上書き……。あのさぁ……ってなったのが「母も必要ない」のところにわざわざこう、付け足しの括弧書きで【あのような父に尽くした】って書いてあるの……うわぁぁぁぁってなってしまった。あのさぁ……うん……。父のことはおぞましいとさえ思っているし、ああだけはなりたくないし、そんな父に尽くした母ならいらないって思っている。だからこそその遺品を、だから、殺した、うん、ディオ様……そうして恐れることが『戻ること』って……。屈折しすぎ……。言われてはいたけども改めてこうしてみるといろいろ苦しいなあ。
ここから若い女は食糧になっていく、老いることを恐れて若い女を殺して血を食べる吸血鬼のDIOになるってどうなんだろうね。エディプスコンプレックスというか、そういう言葉でさえ言い表せないこの屈折……すごい……。
あと恋愛やセックスに対する感覚がやっぱりこの方すっごい好きだがものすげークズだな……
『「支配」別れても特に何とも思わない』って……それ大多数の男性も女性も敵に回す発言なのでねディオ様……あなただから言えることなんでね……。
でも「支配」なのに別れても特になんとも思わないっていうさらりとした感じがなんていうか、なんだろうなあ……この感じがジョルノの母親とかにあったのかなあ、というのもあるし、結果的にハルノというかジョルノにとって「父親」というものに対する歪みは生んでいる気がする。
ディオ自身が親というものにこだわりがないを通り越して嫌悪しているから6部で理由が発覚はするものの、実際問題として人の親になっていいタイプじゃないからなあ、コイツ。そうしてたぶんディオにもDIO自身にも『親』になる気はないだろうからなあ……。
・ンドゥールの身の上書きもあるってことなの!?ねえ!?見せてください!?
ンドゥールの生い立ちは少しだけ彼自身が語っていますが、好きな食べ物とワイン知りたい。赤か白か香りで判断して「やめておく」って言うンドゥールさん見たいんですよーーー!!!あと赤が好きだったら「飲みたいが頭痛が来そうだ」って言ってほしいし、白が好きだったら「冷やしてあるのか?」って真顔で言ってくるのも見たい(厄介なオタク)
・結局花京院の名前の読みどうなんですかね……?(てんめいなのかのりあきなのか、あの地名の件と地元の名士の方の件だとはっきりしない)
いや、だって荒木先生が「てんめいなんだけど」って言ってるしエンヤ婆のところで「Tenmei」なのも別にQ太郎だけがあれなんで花京院はただの実名晒したアホの子、ってのも分かるけども、じゃああの謎の果たし状の振り仮名振ったの誰なんだよ!?っていう(どう見ても写植じゃなくて書き文字だから荒木先生あの時点ではのりあきのつもりだったのでは?と思っている)。まあアレもスタンドの漢字間違ってるし花京院が自分の名前さえブレブレの高校生ということでも驚かないけどな。
・吉良さんやっぱり好きだよ。「激しい喜びはいらない。その代わり深い絶望も」これよ。これに収束する吉良吉影らしい身上書きでした。それでも抑えきれない衝動と美意識。うーん、納得。
・重ちーもだし、6部の承太郎も、エンポリオのラストもだけども、荒木先生はやっぱりけっこうキャラクターに感情を入れて描いていくんだなあと改めて感じました。
・わかってはいたけども「隠れ蓑としての「神父」」とプッチ神父についてしっかり書かれるといろいろと複雑な気持ちにはなる。
複雑というかね。DIOの友人という部分と、徐倫や承太郎にも勝っちゃうボスであってという部分もありながら「隠れ蓑としての神父」という部分。そうでありながら「神を愛するように」でdio(イタリア語で神)を愛するように。そうなるとこのセリフもまた白々しくなるなあとこの間ちらっと書いてあげたけどもそうなるなあと思います。なんとなくね。隠れ蓑だけれども職業倫理や職務規定をしっかりと守った結果がああだとすればプッチは真面目ではあるんだろうなと思う。
真面目である方向性というか、なんというかな。
漫画についてとゲームとか
・プラスプラスの理論はやっぱり好き
荒木先生のプラス理論が私は好きですね。漫画を読んでいてフラストレーションが溜まらないというかね。私がジャンプ好きだからっていうのも大いにあると思うんですが、結論がマイナスなら初めから読まんでいい、と思っているタイプなのですが、それ以上に楽しんで読みたい、という欲求が満たされるのはすごいことなんだな、と改めて思いました。
・プラスの理論で行った時に少し手を入れたという話があるのがEoHですが、じゃああれって結局……?となるからいまだによくわからないのが事実だったりする。だからこの間書いた花京院の話がぐちゃぐちゃなのは自覚済みなんですけども、あのDIOおかしいかも……?といまだに思っているのと、プッチも?ンドゥールは大変分かりやすい。
気づいたらまた何か書き足します。
面白かったー!