久しぶりに永斎。
いろいろ書いているのですがpixivに置いていたり、自分で印刷していたりと様々ですが、今回は永斎です。ヤンデレというか、永倉さんがナチュラルに狂っています。
夏だしね。ホラーまでいかないというか、うちの永倉さんいつも狂ってるけどもバーサーカーだからある程度仕方ないのかなと思います。
昔のことの設定はいつも通りなのでそこも含めて仕方ないのかなと思います。
夏だしいいんじゃないかなと思いました。かなり短いので長い話にしたいです。流血沙汰になりそうだけども。
所有物
「所有するというのは、その存在を傷つけないようにしながらその自立性を否定することである。所有とは被所有物を否定しつつ生き永らえさせる。(中略)他者とは殺害の誘惑をかき立てられる唯一の存在である。殺したい、しかし殺すことが出来ない。」(エマニュエル・レヴィナス『困難な自由』より)
「ああ、そうだな」
隣で寝ている斎藤の頬に触れようとして、それをためらう理由がないことに俺は安堵しながらどこか落胆していた。そうだ、放し飼いにしていた時が楽しかったのだ、と。
このカルデアに来て気が付いた。一度手放した斎藤は、いつだって俺の許に戻ってくると、戻って来ないとしても捕まえればいいと思っていたのだと。
「そうだ。俺は斎藤を傷つけたくない。だが、斎藤が一人で立っているとどうしようもなく腹が立つ」
あの甲斐でやっと思い出した、というよりは思い至った。斎藤は俺の所有物なのに、勝手に手から離れたのが許せなかった。
俺が手放したんじゃない。斎藤が逃げたんだ。だけれど俺が手放したんだ。
傷つけたくないのに、殺したいほど憎かった。
俺から逃げた斎藤が、殺したいほど愛おしかった。
夏。誰もかれも浮足立っていて、斎藤も薄いシャツにサングラス、なんて恰好でいるそこで寝てしまったのは遊びすぎたからか。そうしてそのまま頬に触れる。
「……なに?」
やはり眠たそうにそう言った斎藤に笑う。
「なんでもない。寝てろ」
「……うん」
それは確認だった。おまえは俺のもので、俺はおまえを殺すことが出来て、殺したいほど愛していて、だから俺は一度逃がしてしまったのだから、次は――
「殺してでも愛してやるしかないじゃないか」
狂っている? 今更だな。