「あ、こらダーオカ!」

 待ちなさい!と沖田ちゃんの威勢のいい声がノウム・カルデアの廊下にこだまする。ああ、そういや今日は越後の軍神様が一部屋貸し切って飲み会、だったか。さすがに塩を肴にするような人を相手に飲むのはアレだったから断ったが、沖田ちゃん参加してたのね。
 珍しく信長公主催でもないし、副長は初めから下戸だし誘われてないが、沖田ちゃんも断ったのかと思ってたけど。

「もうええじゃろ!あとは」
「坂本さんに負けたんだから素直に!」

 そう言って廊下に出てきた岡田を適当に捕まえる。

「なんじゃ、壬生狼その三!」
「変なあだ名付けんな、鉄蔵。これ、「無宿の」含めて流行らせんぞ」
「あー!斎藤さん、ダーオカナイス確保です!その人坂本さんに負けたら生前のツケを払うって約束したのに逃げようと!」
「沖田さん、いいってば。最初から期待してないから」

 そう沖田ちゃんが廊下に出てきて言えば、困ったように言って坂本も廊下に出てくる。
 へー、ふーん。男、結構いるじゃない。ていうか仲いいよね。知ってたけど。ここに来てから思い知らされたけど。

「そう?じゃあ返却しますけどね」
「丁重に扱え!」

 そう言われたがそんなことする義理もないし、と思ってその部屋に岡田を投げ込めば、軍神様が笑いながら手を振ってくる。いや、僕は飲みませんってば。

「と、そうだ斎藤さん」
「なに」

 声を掛けてきた坂本に思わず冷淡に返したら、彼は沖田ちゃんの肩を軽く押す。触んな、頭来る。

「沖田さんもそろそろ返却と言いますか、ね」
「えー!坂本さん、私ほとんど飲んでませんよ!?ほとんどというか全然と言うべきかと!」
「だから、ね」
「あーハイハイ。沖田ちゃんみたいな『年頃の』女の子が底なしのワクだの酒豪ぞろいの土佐の連中と飲んでんなって意味ですよー、おこちゃまの沖田ちゃんには分からんでしょうけど、坂本さんに気を遣わせてますよー、このじゃじゃ馬が」

 そう毒づいて坂本から沖田ちゃんを受け取る。それに彼はひどく困ったように、というかどうにもならない視線で以てこちらを見たが、関係ない。

「なっ!?沖田さんはじゃじゃ馬でもおこちゃまでもないでっ!」
「黙ってろ、床にたたきつけるぞ」
「そういう訳で、ごめんね、斎藤さん」
「じゃじゃ馬馴らしは得意なんで」

 そう言って担ぎ上げれば、ジタバタと暴れたが、ひらひらと手を振る坂本に一つ舌打ちして、ぎゃーぎゃー言ってる沖田ちゃんをそのまま連れていくことにした。確かに、酒の匂い一つしないな、この馬鹿は。





「リョーマ、アレは流石にお竜さんでも可哀想だと思ったぞ」
「うーん、でもねぇ……斎藤さんも可哀想というか……」
「リョーマ、一応言っておくがお竜さんが可哀想だと言ったのはサイトーの方だ」
「あ、やっぱり?」





 自室まで沖田ちゃんを運んでどさっとベッドに降ろす。

「きゃうっ!乱暴ですよ!」
「るせーな」

 舌打ちを一つして、桜色の着物姿の彼女をよそに、適当に水分を摂る。どうせこれから汗かくし、とか思いながら。このじゃじゃ馬……というか雌猫を躾直さねぇといけないからな。

「なんなんですかもー。私はただ」
「ただ?」

 そう言ってきた彼女に訊き返して、じっとりと見下ろせば、なぜか知らないが沖田ちゃんが黙って息を呑む。あれ、僕そんなに剣呑な顔してるかね?

「男と飲む酒は美味いか?さぞかし美味いだろうねぇ?土佐の酒飲みどもと楽しく騒いで、体でも触らせてやった?」
「何、言って?」
「見境なしの雌猫には楽しい酒盛りだったろうねって言っただけだけど?」

 にこっと笑って言ったら沖田ちゃんが顔を真っ赤にする。いやねぇ、今更。だってそういうことだろうがよ。

「てめぇが誰のもんか、まだ分かってないみたいだね?」

 するりと頬を撫でて言えば、真っ赤な顔の彼女がびくりと震える。

「そういう雌猫は躾直さねぇとな」

 そう言ってそのまま手を軽く喉に降ろせば、ごくんと唾を飲む感覚がした。いい眺め、なんてな。





「ひぁっ……んっ」
「ああ、こんな胸があれば男ども誑かすには丁度いいかねぇ」

 胸をいじりながら耳元で囁いて軽く耳朶を舐めれば、真っ赤な顔の沖田ちゃんが必死に首を横に振る。はだけた着物の間から手を差し入れて、取っ払ったさらしの下から出てきた胸は上物だよな、なんて下世話なことを考えながら。

「そうなの?俺がカルデア来るまでいろいろヤッてたんだろうなあ、ってだけの話だけど。淫乱」
「ちが、違いますっ、ひあっ」
「なぁに?耳で感じてんの?発情期の雌猫がよ」

 胸をいじる手を止めて言葉でなぶったら、目にいっぱい溜めた滴をぽろぽろと零す。まあくるものはあるけど、止めないがな。

「知ってる、くせに!さいとうさん、が、はじめて、で!」
「ああ、そうだったね?俺が初めてで、生娘だったのをもらったっていうのにさぁ」
「ひゃうっ」

 そう言って袴を脱がせる。何も着ていない彼女を見下ろして、にこりと笑いかける。

「あらま、ずいぶん濡れてるねぇ」
「あっ……うぁっ」
「かるーく胸触って、あとは適当にしゃべってただけなのに、やっぱり発情期の雌猫じゃん。こんなにしてさ」

 そう言ってぐちゅ、と秘所を撫でれば、びくびくと震えながら、彼女が切れ切れに言ってきた。

「さいと、さん、ごめんなしゃい」
「何が?」
「ひゃうっ、も、しない、から!」

 冷えた声で言って、容赦なく陰核を摘まめば「もうしない」、なんてこれまたずいぶんなことを言うもんだ。

「も、余所の男の人のところに行ったり、しないから!」
「ふーん」
「ひぁっ!?」

 言葉に軽く指先を挿れる。もちろん陰核を潰すのも忘れない。

「ねえ、沖田ちゃん?前もそう言わなかったかな?」
「らって、ちが、あの」
「自分が誰の猫ちゃんかすーぐ忘れちゃう淫乱ちゃんに、毎回躾直しするこっちの身にもなってよ」

 へらりと笑って言えば、ふるふるとその「猫ちゃん」が震えた。可愛いねぇ、本当に。

「躾、毎回足りないのかな?」

 そう言ってぐちゅ、と指をナカで動かす。絡みつくようなそれに思わず笑ってしまった。

「やぁっ、ちが、い、ます!っ、やめっ」
「違うって言うわりに、俺の指に食いついてくんだけど?ああ、体の方は自分が誰のもんか十分理解してるってことかな?さすが猫ちゃん」
「ひうっ」

 耳元で囁けば、この声も快楽に変わるように躾けた彼女がびくびくと震えて指を締め付けてくる。それに軽く笑ってトントンと胎内を叩く。

「ほら、教えたでしょ?こういう時は?」
「イき、ました、さいとうさんの、指で、ふぁっ!」
「はい、上手に言えました」

 偉い偉い、なんて言って指を増やす。二本呑み込んだそこで、彼女の感じる場所をなぶっていたら、絡みつくような肉の感触に本当に笑ってしまう。

「やっぱりさぁ、体は自分が誰のもんか分かってるみたいね。そのわりにあっちへふらふら、こっちへふらふら。躾もタイヘンだなあ」
「きゃうっ、やっ、しつけじゃ、なっ」
「は?」

 急に生意気なことを言ってきたから、思わず乱暴にナカを指で掻き混ぜて、それからぺし、と軽く彼女の上気した頬を叩く。

「だーかーらー。何回言えば分かるのかね。おまえは俺の飼い猫なの。万年発情期のエロ猫。俺の下で啼いてりゃいいんだって何回も教えたよね?」
「ひゃうっ」
「そのくせそんなことも忘れてあっちこっち行っちゃってまぁ、躾甲斐のない雌猫だこと」

 くつくつ笑って見せれば、怯えたような目でこちらを見上げる。あー、ほんとにいい眺め。

「なーんてね。冗談冗談。沖田ちゃんが俺の自由になる猫ちゃんなワケないもんね」
「ふぁっ、やっ」

 指を増やしてバラバラに動かしながらそう言えば、陶然とした顔でその指に絡んでくる肉の感触に、やっぱりエロ猫、なんて思いながらずるっとそれを抜く。

「なんて言う訳ねぇだろバーカ」
「きゃうっ!?」

 抜けた指の感触にまた達したらしい彼女に構わず、自身のそれをスラックスから取り出す。指が抜けた喪失感からか、それを見て顔を赤らめた彼女の腰が動いた。

「なぁに?欲しいの?」

 問いかければ、こくんとうなずくが、そんなので許すと思ってるのか、という気分で軽く怒張を入り口に擦り付ける。

「へー?こういう時に言うことも教えてあるよね?」
「ふぁっ、やっ」
「何感じてんの?淫乱」

 そう言えば顔を赤らめた彼女がぽろぽろと泣き出した。苛め過ぎたかなあーなんて軽く思いつつも、正直に言えば。

「泣き顔ってそそるよね。いい気味」
「ふぇ、そん、な……」

 そう言って本格的に泣きだした沖田ちゃんが必死に言う。

「わ、私は、猫じゃないので、斎藤さんに乱暴されても、怖くて」
「怖いならなんでこんなにぐちゃぐちゃに濡らして、そのうえ魔羅欲しがってんの、エロ猫」
「そ、れは、斎藤さんと、お付き合いしているからで、エロ猫じゃ、ない、ですっ」

 必死に抵抗するように言ってきた彼女に、面白くなってきて思わず耳元で囁く。

「じゃあ譲歩してドMとでも言ってあげようか?」
「ひゃうっ」

 まあ譲歩になってねぇか、というか少し苛め過ぎたかね、泣いてるし。そうは言っても、他の男と酒飲んで遊んでたのは事実ですけども、と思いながら軽くぬかるみに先端を挿れる。

「あっ、のっ」
「上手におねだり出来たら今回のことは許してあげる」

 そう言ったら、涙をこぼす目をぎゅっとつぶって、沖田ちゃんは必死に言葉を紡いだ。

「いれて、くらさい」
「ん?教えたよね?」
「淫乱な、下の口に、いっぱい、しゃいとうさんの、を、いれ、て」

 ま、及第点かねぇ、と思いながら、軽く彼女の髪を撫でる。

「じゃあ躾の時間はおしまい」
「らから、しつけじゃ」
「舌噛むから黙ってろ」
「ひゃうっ!?」

 そう言って自身を彼女の中に押し込む。絡みついてくる肉の感触。誘うようなそれに笑ってしまう。

「あっ、やっ、だめっ!」
「なーにが駄目なの?ほら、大好きだって絡みついてきてさぁ」

 そう言って軽く彼女の足を折りたたむようにして、挿入を繰り返しているうちに、俺のものしか知らないそこは、従順にそれを迎え入れた。

「特にこことか、ね」
「おく、らめ、らめ!」

 必死な彼女に構わずトントンと下りてきた子宮口を撫でれば、その感触に合わせるように必死に喘ぐものだから、可笑しくなってしまって、可愛くなってしまって、思わず、ごちゅ、と強く押し入れてしまう。

「きゃうっ」
「おー、締まった。でもトぶなよ」

 適当に言いながらぐりぐりとその口をなぶって、先走りを塗りたくるように捏ねまわしたら、真っ赤な沖田ちゃんが必死に縋りついてくる。

「可愛いの」
「あっ、やっ、だ、め、です!」
「駄目なら抜いちゃうよ?」

 そう言って最奥を捏ねまわしていたそれを入り口近くまで抜いたら、ひっと短い悲鳴が聞こえる。ほんとに可愛い。

「なんてな」
「ひぁっ、らめ、らめっ!」

 その一瞬の隙を見逃さずにどちゅ、と最奥まで自身を捻じ込んで、そのままぐりぐりとそこをなぶる。そうして笑って見せればもうこっちのものだ。

「それで、どうしてほしい?」
「せーえき、くら、しゃい」

 荒い息で躾けた通りに応えた彼女の子宮口にぐちゅ、と亀頭を充てる。

「零さず飲めよ」

 ドクンと零れたそれを零させる気なんてなくて、最後の一滴まで塗りつけるようにそこを犯して、気持ちよさそうに震える彼女にやっぱり、なんて思って一言耳元で囁く。

「エロ猫ちゃん、俺の精液美味しい?」





「ごめんってば」

 そう言ってシーツをかぶってこちらをじっとりと睨む沖田ちゃんはなんて言うか、うん、猫じゃんとかこの期に及んで思っていたら、沖田ちゃんが手を伸ばしてきた。

「ひどい、です」
「僕が狭量な男だってことは昔から知ってるくせに」
「だからって猫扱いはひどいって毎回言ってます」
「だからって浮気癖はひどいって毎回言ってます」

 言葉にそう返したら、浮気じゃないです!と叫んで沖田ちゃんはぼすっと枕を投げてきた。

「斎藤さんのばか。斎藤さん以外にこんなことするわけないじゃないですか」

 そう言われて、僕はふと笑ってしまう。

「そーね。うちの猫ちゃんが僕以外にあんなふうに発情したらそれこそ大惨事だわ」
「だから、猫じゃない!」

 叫んできた彼女に笑って、僕はコーヒーを飲んだ。