「だから、らからですね」
「うるせぇ」
「沖田ちゃんはけっして、けっして、ぺたんこちゃんじゃないんれすよ」





 はははと笑いながら言ってきた酒くさい斎藤に、コイツの酒癖は死んでも治らなかったか、と土方は眉間に手を当てた。文字通り、死んでも治らなかった、サーヴァントになっても変わらぬ笑い上戸である。

「まあ土方君、正月だし、ね?」
「じゃあおまえが引き取れよ」
「嫌だ」

 そう言って絡まれていた土方をたしなめた、いつの間にか召喚されていた山南は一言でそれを断った。

「なんれすか副長、山南さん、ふたりとも俺のこと嫌いなんれすか」
「いやー、このご時世セクハラ発言はどうかと」
「オイ、山南、押し付けるだけなら誰でもできるぞ」
「やだなあ、まるで仕事の話みたいじゃないか。慕われていてうらやましいよ」

 そう山南は笑って言ったが目が笑っていない、と土方は思う。ここで斎藤を押し付けたら、たぶん休暇明け(カルデアには休暇がある、福利厚生!!と先ほど斎藤は叫んで酒を飲み始めたわけだが)にどんな内容の仕事、それもサーヴァントとしてではなくダ・ヴィンチやホームズの領分の仕事を押し付けられるか分かったものではない。

「だーかーらーね?副長、沖田ちゃんはね、胸がけっこうでかくて、普段さらしまいてるだけで、やわらかくて、たぶん、ていうかぜったい、ふくちょーのおめがねにもかなうっていうか」

 ね?と言ってきたところで山南はふとその部屋の入り口から目をそらし、土方は大きく息をついた。

「良かったな沖田、胸でけえとよ」
「それ言う?土方君」

 そこには大量の水を持った沖田が仁王立ちしていた。





「だーかーらー」
「あ、土方さん、山南さん、これ生理食塩水だそうです。水より酔いにはこっちとネモドクターが」
「ああ、ありがとう」
「おきたちゃんはー」
「このアホは点滴にでも繋いで一週間くらい生理食塩水だけで生活させましょうか?」
「資源の無駄だ。ほっとけ」
「むねがね、みんながおもってるよりでかくて」

 そこまで言ったところで沖田はスパンと手刀で斎藤を落とした。

「じゃあこれ持って帰りますね」
「はい、お疲れ様」

 斎藤を引きずって出ていく沖田にひらひらと手を振った山南に土方は言う。

「その絶対関わらないっていう姿勢が逆に怖えんだよ」





「はっ!?」
「目が覚めましたか?沖田さんのお胸は気持ちかったですか?」
「え、ナニコレ夢?沖田ちゃんの胸にうずもれてる」

 そう言っても酒から醒めた斎藤はもぞもぞと沖田の胸をまさぐったから、またスパンと叩かれる。

「痛い」
「あのですね」

 彼女は明らかに怒っているのに、なぜか真っ赤だ。

「なに?ぜんぜん覚えてない、酒?」
「どーせそうなるんだから所構わず余計なこと言わないでください!!!」

 ……彼と彼女は、斎藤が沖田の胸を語ってもいいくらいの関係ではあるのである。





「反省してまーす」
「なら離れてください!もう酔いも醒めたでしょう!?」

 自分が言っていたらしい、彼女の胸について聞かされて(恥ずかしかったから沖田はかなりぼかしたが)、彼はもう一度ぎゅむっと沖田の胸を抱いた。

「そうなんだよね、おっきいし柔らかいし。好きよ、沖田ちゃんのお胸」
「なんっで、そういう変態みたいなこと!」

 言いながら彼はそっとその袂に手を差し入れて、頂を弄ぶ。

「ひうっ!」
「だからって誰にも彼にも触らせるわけじゃないんですけどね」
「ちょ、斎藤、さん!」
「いいじゃない、正月なんだし」

 ダラダラしようよ、なんて妖しく笑って、斎藤は沖田の着物を剥いだ。





「や、だぁ」
「うーん、大きいけど柔らかかい。大きすぎない」
「さいと、さん、それ、やめて」
「それってどれ?」

 自分の胸を舐めたり揉んだりしながら、そうしてその胸について実況する斎藤に、ぜんぶ、とか細い声で彼女は言った。一番やめてほしいのは実況だ。先ほどから胸だけ執拗に舐って、揉んで、そうしてその胸がいかに大きくて柔らかくて、と言ってくる彼にもう羞恥心が持たない、と沖田は思った。

「可愛い飾りもついてるし」
「ひゃんっ、かざり、じゃ、な」
「そうだね、飾りじゃなくてこうしたり、さ」
「ちがっ!」

 べろりとその頂を舐めて軽く歯を当てれば、びくんと彼女の体が跳ねる。それをいいことに、そこに吸い付けば、敏感なそこに沖田はびくびくと震えた。

「や、め」
「なんれ」
「しゃべら、ないで」

 そうそこでこしょこしょとしゃべられて、思わず彼女は縋るように彼の頭を掻き抱いた。それをいいことに、彼はさらに密着したそこでその胸を舐った。

「きもちい?」
「や、だ」
「やだじゃないでしょ」

 ぴちゃと卑猥な音を立てて、彼は一度顔を離す。それでも彼の頭を掻き抱いた彼女との距離は近くて、そのまま彼は彼女に口づけた。

「ふっ、んっ」
「口、開けて」
「ふぁっ」
「いい子」

 そう言って彼は唾液を交換するように彼女の舌を掬って、ぴちゃと深く口づける。

「息、でき」
「ほんと、慣れなくて可愛いよ」

 慣れてくれてもいいけどさ、と続けて、彼は彼女の頭をあやすようにぽんぽんと撫でた。

「ね、沖田ちゃん」
「ふぁい」
「どんな気分ですか」

 ああ、さっきまで酔っていたのは彼の方なのに、と彼女は思う。彼にこうして甘やかされると、思考が融けてしまう。そうして熱い、と思った。

「熱い、です」
「どーこが」

 そう言ったら、彼女はもぞもぞと動く。もう完全に思考が融けているな、と思ったら可愛くて仕方がない、と斎藤は思った。
 こうなってしまえばもう彼女は止まらない。

「まあそうしたのは僕なんですけど」

 そう言ってべろりと唇を舐め、彼は緩慢に動く沖田を見下ろした。

「ここが、熱く、て」
「うん」

 しゅると自分の手で袴を脱いで、彼女は熱に浮かされたようにぼうっと斎藤を見て言った。

「ここも、ちゃんと可愛がって?」

 自ら秘所をさらしてそんなことを言う相手は、やっぱり自分だけで十分だ、なんて彼は思った。





「んっ、くっ…!」
「かーわいい」
「やめ、しゃべ、ら」
「可愛がってって言ったのは沖田ちゃんでしょ?」

 べろりとその秘所を舐めて、斎藤は笑った。そうして陰核に歯を立てた。

「ひゃっ!!」

 そうしたらビクッと沖田の体が震える。

「イっちゃった?」

 とろりと流れてきた蜜を舐めながら言えば、沖田はふるふると首を振る。

「それじゃ分かんないよ?」
「ひうっ!」

 分かっているくせにそう言って、達したばかりで敏感になっているそこをべろりと舐める。そうしたら、沖田はその先に起こることを怯えるように、それでもどこか期待するように、真っ赤な顔で震えながら言った。

「イっちゃった、から」
「うん」
「さいと、さんの、口だけでイっちゃう、い、いん、らん、だから」

 教え込まれたそれを口にして、彼女はそっと足を開く。

「もっときもちいこと、して?」





「ひゃっ、んっ、はげ、し」
「新年なんだからこのくらい」

 新年との関係なんてないのに、彼は彼女の足を高く持ち上げて、自身の怒張を躊躇いなくそこに挿し入れた。

「あつ、いっ、ひゃうっ」
「沖田ちゃんはさ」
「やっ、やあ!」
「ここが好きでしょっ!」

 その昂った熱で最奥を叩く。そうしたら彼女の胎内はびくりと震えて彼を締め付けた。そこが好きになったのだって彼にされたことなんだけれど、と彼女は熱に浮かされたようにぼんやりする頭で思った。そうしてその融けた思考はそこをなぶられて気持ちがいいことをいともたやすく受け入れる。

「斎藤さん、好き」
「はは、これが?」

 とろけた言葉に斎藤はもう一度その熱で最奥を叩く。

「ひゃうっ!斎藤さんも、これも、ぜんぶ」
「可愛いなぁ、全部覚えてないのはお互い様じゃない」

 自分で言ったことだからね、と子供に言い聞かせるように斎藤は言って、それからその怒張を引き抜いて、一気に挿し入れる。

「ひゃっ、だめ、はげし、から」
「おまえが言ったことだぜ、好きなんだろ?」

 猟奇的に笑って彼はがつがつと貪るように彼女の胎内を犯す。それに彼女は耐えかねたように斎藤を抱きしめる。

「やっ、いっちゃう、いっちゃうから!」
「いけよ」
「やぁっ!」

 そう彼女が悲鳴のような喘ぎ声を上げたところで、彼もきゅうっと締め付けられる。それがどこか可愛くて、そうして斎藤ももうその締め付けに耐えられなかった。

「ちゃんと飲めよ」

 どこで、なんてそんなことは言わずに、彼は彼女の胎内にその熱い液体を注ぎ入れた。





「酔っぱらったら覚えてないのは、さ」
「……」
「変わらないじゃない、沖田ちゃんも」

 熱にあてられて、熱に酔って、それから何度まぐわったか分からない、そうして自分の言ったこともきっと大変いやらしいことばっかりだったのだろう、先ほど耳元で言われて、三個目くらいで彼女は彼の口をふさいだ。

「お酒じゃないですもん」
「うん、僕以外に酔ったらだめだからね」

 少しだけ噛み合わないそれを言って、彼は彼女を抱きしめる。

「あー怪我の功名」
「どこがですか!」
「うーん、やっぱり沖田ちゃんの胸好き」
「……胸だけ?」

 新年だから、と言い訳して、彼女はつぶやくように言った。それに彼はへらっと笑う。

「ぜんぶ。沖田ちゃんの全部、大好き」

 今年も、来年も、ずっと、と彼は言って抱きしめる腕に力を籠める。

「私も」

 大好きです、というささやくような声が返ってきて、彼は満足したように目を閉じた。
 このまま、眠ってしまおうか。