餌付け
「歳ー、これそこのコンビニで買った!食おう!」
「はぁ?明らかに分けて食うもんだろ、一個ずつ買えよ」
「なんだ、せっかく休みだってのに喧嘩腰だなぁ。ほら、これ」
「あのな近藤さん、こういうのは女とやれよ。男とやっても面白くねーだろ」
とかなんとか言いながらそのアイスを開けて食べ始めた歳は明らかに顔が赤いし、というか文句言いながらも受け取食べ始めたのがすごく餌付けっぽいし、面白いな、やっぱり。
「何見てんだよ」
「あ、いや、美味そうに食うなあって思っただけだ」
「べっ、別に!うまい、けど!」
真っ赤な顔で視線を逸らした彼がどうにも面白くて、どうにも可愛らしい、なんて思ってしまう。
「女子とやるよりたぶん楽しいし面白いぞ」
「……なんか言ったか」
「別に?」
餌付けして、甘やかして、俺がいないと寂しくなっちまうくらいにしてやりたいなんて、別に思ってないぞ。
……なんてな。