ウサギ
「あれ、このぬいぐるみ……」
「あ、違う!近藤さんでもそいつは駄目だ!」
歳の部屋に遊びに行ったら机の上に載っていた古びたウサギのぬいぐるみを見つけた。別に何ということはないが、初めて見るから珍しいな、くらいの気持ちで言っただけなのに、歳は妙なほどに狼狽えてそれをばっと背中に隠した。
「あ、おい」
「駄目だって言ってるだろ!う、ウサギは寂しいと駄目になっちまうんだ!だから、いくら近藤さんでもこれは、渡せねぇんだ!」
いや、別に欲しいとか言ってないが……とか思いながらも、真っ赤な顔でそのウサギをかばう歳が可愛いから、思わずいじめたくなるのはまあ仕方ないだろう?
「へぇ?じゃあ今日は歳が上に乗ってくれんだよな」
「……は?」
「ついでにウサギが見てる前でヤらないと寂しくなっちまうもんなぁ、その子」
そう言ったら歳はぶるぶる震えながらベッドのわきにそのウサギを置いてワイシャツのボタンに手を掛けた。チョロいな。
*
「うあっ、やだっ、もっ」
「へばるなよ、このくらいで」
真っ赤に上気した顔で俺に跨ってぱちゅんぱちゅんと腰を上下に動かす歳と、それを下から見上げて楽しんでいる俺を、ウサギのぬいぐるみが見ていた。
「ほら、あの子が見てるぞ」
「やめっ、ちがっうぁ」
「はは、締まった」
そう冗談で言ってみたらナカが締まった。恥ずかしいのか、というか大切にしているウサギに見られていると思っているのか、それで気持ちよくなるって……
「淫乱だな。あんまりひとりでよがってるとウサギさんが寂しくなっちまわないか?大丈夫か?」
殊更にいじめるように言ったら、泣きながら喘いだ歳のそこから先走りというか、もうこれ本番だろ、みたいに白濁がこぼれた。
「なに興奮してんだ」
「さみし、く、な、いっあっ、だって、俺と、近藤、さん、するとこ、見て」
「嬉しいかなぁ?俺なら嫉妬するけど?」
達したからか動きが鈍った彼の腰を掴んで、ぐちゅぐちゅと上下に揺すったら、耐えかねたようにこちらに寄りかかってきた。
「も、むりっだっ、また、いっちまう」
「ウサギの前で何回イけば気が済むんだよ」
「ちがっ、うぁっ、くるっ」
「っ……!」
そう叫んだ歳のナカに締め付けられて、俺もそろそろ限界だな、と思い、彼のそこに白濁を撒いた。
*
「機嫌直せよー」
「なんであれやって機嫌直ると思ってんだ、馬鹿かよ」
歳に言われて俺はぽんぽんともう腰が使い物にならないらしい、布団をかぶった歳を撫でた。そうしてまあ話題転換でもないが、というか話題の掘り返しになるが、訊いてみる。
「なあ、あのウサギってなんて名前なんだ?大事なんだろ?」
そう言ったら、布団からちょこんと顔を出した歳が、真っ赤になって、それでも不貞腐れるように一言言った。
「……カツ。あいつならいつも近くにいるし」
「え?」
ちょっと待て。俺は俺の前でお前とヤったわけか?……どういうところでそういう殺し文句覚えるんだ、お前は。