ジャンクフード
「ジャンクフード食べたい」
「……なんて?」
斎藤が突然言ったことに、沖田は思わず何を言われているのか分からず聞き返した。ジャンクフード?確かに彼がカルデアに来てから見つけた好物はコロッケそばで、ある意味そういう感じでもあるが、たぶん違うだろうと思ったらだった。
「うん、フライドポテトとかハンバーガーとか」
「何かあったんですか」
なぜかボイラー室に設置されたこたつに二人だけのそこで、とりあえずやることもないし聞いたら、斎藤はうんと応じた。
「こないださ、エルメロイさんとゲームしてたの」
「ああ、なんだかそんなこと言ってましたね。『レビューを詳細に書く奴は嫌いじゃない』とか言ってましたよ」
「その時なんかエルメロイさんが片手間で食べられるものってそういうのくれたんだけど」
「エミヤさんですかねぇ、エルメロイさん不器用そうだし」
そう言ってみかんをむいてひょいと口に入れたら、斎藤はだんとこたつの天板を叩いた。
「なんです?うるさいですよ」
「そうなんだよ。赤い兄ちゃんに頼んでるのに作ってくれないんだよ!」
そう言って斎藤もみかんに手を伸ばす。ビタミンがどうのと思いながら。
「『コロッケそばでもバランスが悪いのに新しいのにまで手を出すな』とかすかした感じに言われたんだよ!」
そう言いながら、これはビタミンCの味、などと思いみかんをたべる。バランスは大事だがたまにはいいじゃないか、と思いながら。
「エミヤさんちょっとエルメロイさんには弱いですからね。エルメロイさん経由で食べたらどうです」
「それが出来ないから困ってる」
「なんでです?」
問いかけにみかんを頬張りながら斎藤はぽつんと言った。
「エロゲやったら楽しくてレビュー書いて」
「……」
「見放された」
ジャンクフード、コロッケそば、エロゲーム。なんだろうこのかわいそうな生き物、と思いながら、沖田は言った。
「部屋帰ってください」