行かない

「先生は、ご自分が絶倫だっていう自覚あります?」

 カルデアの寝台で情を交わして、それから。どこかぐったりしたふうの、それでもどこか何か妖艶にも見える晋作に言われた。

「……君以外経験がないので判断しかねます」
「……真顔で凄いこと言いますよね」
「服を着なさい」
「そんな元気ありません」

 そう言って彼は裸のままでこちらに手を伸ばしてくるから、丁度眼鏡も掛けていないしと思い抱き留める。そうして口付けてみれば、ぼんやりと、それでもどこか怒ったような晋作がいた。

「どうしました?何かしましたか?」
「からだ……」
「はい?」
「先生と毎日でもやりたいって思ってたけど持たないかもしれません」
「……は?」

 とにかく要求してきたのは晋作の方だったが、と思いつつそう答えれば、晋作が啄むような口付けを何度も落としてくる。

「僕だけの先生なのに、どんどんキスもセックスも上手くなるし絶倫だし、ほんともう」

 言われてふと口角が上がった。

「……僕は君しか知らないし、どこにも行きませんよ」


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2023/4/27