懲りる
「いい加減にしてください」
「なーにが」
ファミレスでカリカリとシャープペンシルを走らせる私の前で、悠然とコーヒーを飲むこの男について、私は何事か考えるべきか、そうか、学校か警察に相談を、とそこまで考えてからばかばかしくなってシャーペンを置いてしまった。
「大学生って暇なのね」
「ひどっ!暇やないけど相田さんとは付き合いたい」
「意味不明すぎますね」
この男を何とかしないと、というかいい加減懲りてほしい。
私はあなたが考えるような可愛い女の子じゃなくて。
あなたが望む言葉を返せるわけじゃなくて。
だからもう、いい加減懲りて帰ってくれればいいのに。
いつもそう思っていた。
「なあ、相田さん」
「なに」
「お疲れさん」
やっと言えた、というふうに今吉さんは言った。
「なによ、今更」
ほら、やっぱり私は可愛くない。
あなたがずっとその言葉を言おうとしてくれていたことを知っていたくせに。
懲りないのは私も一緒か、と私は妙なことを思った。
私のバスケットは終わってしまったけれど、あなたのバスケットも終わってしまったけれど。
私たちは今のこの妙な関係を、あといくつ懲りずに重ねるだろうと思いながら。