俺の知らないところで、というのが沸々と沸き上がった。
寝台に横たわる彼女が、俺の知らないところで傷ついたことが、どうしてか許し難い。閉じられた彼女の瞳をじっと見つめる。機能を停止した彼女がそれに応じることは、ない。
全て知っている。彼女を構成する機構も、装置も、その肌の美しさも。
全てを知っているのに、俺の知らないところでこうして傷つき、俺の知る部品で彼女を直すことが、どうしたって許し難かった。
目の届くところに置いておきたい。全てを知っているからこそ。
「どうして、こんな真似した」
隊務だから、と言われればそれまでなのに、俺の思考回路はどんどんどんどん理不尽で横暴になっていく。
「お前は俺の知らないところに行くな」
それは傲慢な哀願。
俺の知らないところ。俺の届かないところ。
そこに放り込まれた誰かと同じその椅子に座るお前だけは―――
どこにも行かせない。誰にもやらない。
そんな、傲慢で、不可思議な支配欲など、どうせいずれ打ち壊されると、心のどこかで知っていた。
知っていたから俺は、その真っ白な腿に、噛みつくような口付けをした。
腿のキスは支配