その喉笛に、噛みつくような口付けをした。
「何すんねん!」
案の定、彼女は飛びずさるように身を引いて、俺が突然噛みついた喉許を押さえた。
飛びずさって、喉許を押さえる右手と反対の左手は、しかし俺の右手が拘束中で、そう遠くまで―――俺の腕の長さの範囲以上まで、彼女は動けなかった。
百有余年振りの再会で、俺の中に湧きあがったものは、思った以上に凶暴で、抑えがたい衝動だった。
元々全体的に色素の薄い彼女の喉と頬は、だけれど先程まで再会した俺に考えつく限りの罵詈雑言を吐き出しているためか、僅かに赤みを帯びていた。
その色づいた頬か、喉笛か。どちらかに、噛みつきたいと思った。衝動だった。
その衝動は、次第に、頬なんていう生易しい(……それは言うなれば生命の危機に直結しない、という点での生易しさである)部分へよりも、喉笛を捉えてしまいたい衝動に変わっていった。
だから、まだ言葉を紡ぎ続ける彼女の手を一瞬で取って、それからぐいと引き寄せると、その喉許に、噛みついた。
「ひよ里だな」
別に、血なんか出ていないし、血の味で人を判別するような狂気じみた思考回路も持ち合わせがない。だけれど、犬歯が感じ取った彼女の肌の感触が、自身をひどく高揚させた。
そしてそれは、百年以上が経とうとも、彼女が彼女であることの証左のように、俺の思考に焼き付いた。
そうしたら、それ以上を暴き立てたい衝動に駆られた。百有余年の空白を、暴き立てたい、というずいぶんと歪んだ衝動。
「阿近、ええ加減にせえよ!」
怒ったように、それでいて困惑したように、彼女が手を振りほどいたので、俺は一瞬体勢を崩して、だけれどすぐに前のめりになって彼女の喉許に、もう一度犬歯を立てる。
「っつ!」
衝動に委ねたら、見なくとも彼女の顔が歪んだのが分かったから、俺は慈しむように、それでいてその衝動を隠しもせずに、その喉に口付けた。
喉のキスは欲求