彼女の白い肌を、彼の武骨な指がなぞる。ネムの肩が小さく震えた。麻酔で眠っているはずだが、少しばかりの反応は普通のことだし、それはこの死神が、如何に精巧に造られたかを物語っている気がした。
うつ伏せの背中は白い。
白く、陶器のように滑らかだった。その、白く滑らかな肌の腰辺りまでに、黒く艶めいた髪が踊っていた。今度は、阿近の指がその黒髪を掬う。さらさらと指を通って、白い背中から、その髪が腕の方に落ちて、肩甲骨のわずかな凹凸が見えた。
「誰にも渡さない」
阿近は、そう呟くと、今度はそのわずかに突起した肩甲骨を撫でる。
冷たい。
精巧な彼女の体温は低かった。自分よりも低いその体温が心地よかった。
「お前はここに座り続ける」
永遠に、と続けようとして、その白い胴が一瞬動いたから、彼はその無粋な一言を呑み込んだ。
永遠なんて存在しない。
彼女ですら、何時か崩れ落ちていく。
だけれど、その瞬間まで。
或いは、己の息の根が止まるその瞬間まで。
「それまで俺は、間違いなくお前の隣にいよう」
義理堅く、だけれど軽薄に、そう約束する。
だが、それはもはや約束ではなく、定型の嘯きのようなものだった。
彼女に嘯く言葉でありながら、それは己自身への言葉だった。その言葉に、彼自身が相分かったと納得することだけが、少なくとも彼女と彼を結ぶ不確かな、だけれど緩やかに定められた結びつきだと、彼は思っている。
それを確かめるために、彼は己自身に嘯くのだ。
そう、思いながら、彼は露わになった彼女の背中へ口付けた。
どくん、と彼女が間違いようもなくそこにいることを示す拍動が、その口付けに応えるように波打った。
背中のキスは確認