金盞花

その感情に気が付いた時、俺はどうしようもないほど取り乱した。
取り乱したところでそんなのはもう手遅れで、彼女が玉狛支部に転属することはもう決まったことで、新しいオペレーターを迎えるために整理されたデスクを俺はぼんやりと眺めた。
気が付くのが遅すぎた。遅すぎたし、この感情はあまりにも醜い。
好きだ、と気が付いてしまった。一人の女性として、彼女を見ていたのだと、気が付いてしまった。
別れが訪れる前から、多分俺はそれを知っていた。知っていたのに知らない振りをしていた。



(その別れを、悲しいと摩り替えてしまえるほどに)


そうやって、知らない振りをして、恋情を悲しみに摩り替えて、俺は彼女との別れを思う。


金盞花:花言葉「別れの悲しみ