水仙

喉許まで出掛かった言葉を、俺はいつも呑み込む。
破面との戦いが終結して、再会した彼女は少しも変わっていなかった。
悪態をつく声も、低い背丈も、頬のそばかすも、何一つ変わっちゃいなかった。
憎まれ口をたたいて、少しだけ笑い合って、だけれど彼女が瀞霊廷から去る時に、俺はその言葉を呑み込んだ。その時だけじゃない。
彼女がいなくなってからずっと、百余年の月日のうちで何度も何度も繰り返しては呑み込んで、呑み込んでは繰り返した言葉だった。



(俺の元に帰ってきてくれ)


思考の裡だけでその言葉を落として、だけれどやっぱりその言葉が空気を振動させることはなかった。
永遠に叶わないと、知っているから。


水仙:花言葉「私の元に帰って