恋しい

彼女がテニスを辞めると言ったとき、俺はどんな顔をしていただろうと思う。
俺がテニスを辞めると言ったとき、杏はとても辛そうだった。
同じことを言われて、多分俺はひどく傷ついた顔をしていた気がする。
そんなの誰かが決められることじゃないと知っていたのに。
立っている場所は違うかもしれない。
だけれど、だからこそ、彼女はテニスを続けるだろうという希望的観測が俺の中には確かにあった。

だから、かつての青春が
何一つ失っていなかった日々が「恋しい