不毛
百年。
百年なんて、自分にとっては一瞬だったように思う。
「死神が嫌い」
だから、彼女が言うのと同じ言葉を繰り返してみた。だがそれは、あまりにも、今の俺には重すぎた。
彼女は、強かった。いや、今でも強いだろう。だけれど、彼女の姿かたちは、百年前のあの時から止まっている。彼女自身が止まっているのか、自分の方が止まっているのか、それは判らない。
だが、少なくとも外的に俺は止まっていない。今では、あの日の彼女の一つ下の地位を保っている。それを知ったら、彼女は何と言うだろう。
やはり、死神なんて嫌いだ、と言うのだろうか?
少なくとも俺は、死神以外になれた例がないから、彼女のその苦を理解するには程遠い存在であることだけが、ひどく重かった。
そうしてそれから、何百年経とうとも、彼女の全てを理解することなど、己には不可能なのだろうという、不毛に気付いて、俺は嘆息する。
過去の己に。
現在の彼女に。
百年の孤独が、降り積もらせたものなど此処にはない。