詰責

「嫌い」
「うん」
「キライ」
「うん」
「嫌いキライ嫌い」
「ほうか」

膝の上に私を載せて、詰られるに委せる彼に、そんなことを言ったって、何一つ変わらないのに。
変わらないと知っているのに、私はやっぱり彼を詰った。彼を詰ってどうなると言うのだろう。どうにもならないのを知っているのに彼を詰るのは、ひどく空虚で、だけれどひどく緊張することだった。『嫌い』というたった一言を口にするたびに、言いようのない虚しさと、そうして、どうしようもない胸の痛みに襲われて、止めたらいいのに、と脳の中の冷静な何かが、警告とも、忠告ともつかない嘆息じみた声を上げる。

「きらい、かあ」

ひどく淋しそうに彼は言って、私の体を思うよりずっと厚い胸板に引き寄せた。

ほら、わんわんと警告音が鳴る。


貴方じゃないの


喉元まで出かかった冷たくて、理不尽で、残酷な詰責を、私は小さく呑み込んだ。