花束

HappyValentine!」

 差し出された真っ赤なバラの花束にアレックスはきょとんと氷室を見返した。
 そうしてそれから、やわらかに笑う。

「日本じゃ、女の子がチョコを渡すんだろ」

 軽く笑って言ったら、氷室はにっこり笑う。

「フラワーバレンタインは男からが基本だろ」

 笑顔でそう言う男に、彼はどこでこんな紳士に育ってしまったんだろう、と思う。少なくとも、自分の教育の賜物ではないな、と。

「ありがとう、タツヤ」

 受け取ったバラの花束にちょっと口付けて、彼女は幸せそうに笑う。用意したチョコレートケーキを、どのタイミングで出そうか考えながら―


花束と君とチョコレート