婚姻届
「ハッピーバレンタイン!!!」
逆チョコ!と叫んで柔造が蝮の前に叩きつけたのは、チョコでも何でもなかった。
「どういうつもりや!この変態!」
チョコなんかじゃない紙切れ一枚には、様々なことが書かれていた。……蝮が書くべきところを全てスルーして。
「いや、バレンタインやから決心して準備したっちゅーかね」
「照れるな!あてが照れるっちゅーかキレるところや!!」
頬を染めてでれでれと差し出すそれは、ドラマなんかに出てくる、役所でもらえる紙切れだった。いわゆる、婚姻届。
「まあまあ、逆チョコよりは生産的やと思わんか?」
ほれほれと差し出されたそれは、もうどうしたって逃げられそうもない。
結婚しようだの、嫁が欲しいだのという男の実行力が、本当は嬉しいのだから……
とりあえず、判をつこう