テディベア
『そっちも寒いでしょ。風邪引いてない?』
エアメールの冒頭には、彼女を気遣う言葉。そうして、少し早めに送ったバレンタインのチョコレートへの感謝が書かれていた。
だけれど、今回のエアメールは手紙というか、小包だった。
『通りにたまたまあった雑貨屋で見つけた。ちょうどバレンタインくらいに届くんじゃない』
文面ですらぶっきらぼうな王子様に、桜乃はくすっと笑う。いつも通りの彼が嬉しかった。たまたま見つけたとしたって、その店に入って、これを買ってくれたと思うと、それだけで充分嬉しかった。
『あんたそっくりだったから。HappyValentine』
「うれしいよ、リョーマくん」
桜乃は、その『そっくり』と言われたふわふわのテディベアを抱きしめて、海の向こうの彼を思った。
いつもここにいるよ