難消化性デキストリン
ガコンと自販機から落ちてきた缶コーヒーを取り出して、プルタブを開ける。
「眠いの?」
「なんで答えなきゃならないんですかね」
永倉さんに言われたそれにそう返して、どこか甘ったるいそれを飲んだ。
……ブラックにすればよかった、とか、どうせ冷房なんだしとホットにしたのは流石に暑かった、とか、どうでもいいことばかり考えながら、それでもカフェインが入っていればそれで十分だと思って買った缶コーヒーを飲み切って、空き缶を自販機の近くのごみ箱に放り込む。
「因果だよなぁ、ついに120円で缶コーヒー一本買えなくなったんだから」
言葉に反してのんびりと、自販機の値札を見ながら永倉さんは言った。百四十円に値上がりした缶コーヒーの甘ったるいような、絡みつくような味が喉に引っ掛かる。
「難消化性デキストリン」
「……ん?」
引っ掛かるような、絡みつくような、面倒な人。
「嫌いですよ」
「知ってる」
甘ったるくて、やってられない……眠い。
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2023/6/24
2023/10/11 サイト掲載