昔日
「……眠い」
「少し寝ろ」
綱に言われて吾はふぁと欠伸をした。なぜこのような、張り込みとか言ったか、そのような退屈な任を吾が、しかも綱とせねばならぬ。
「マスターが言ったからだな」
「なにも言っておらぬ!」
吾の心を読んだように綱はケロッと言った。そういうところが腹立たしい。
「俺は慣れている。寝ていろ」
そう言って綱は吾にいつも着ている外套を掛けた。ふわり、と眠気がする。
「よもや、お前の隣で寝るなどと」
そうはいっても睡魔には勝てぬ、と思って吾はこてんと眠りに落ちた。
*
「さて、どうしたものかな」
俺は寝ろと言っておきながら寄り掛かられている状態に困惑していた。茨木が俺の肩で寝ている。任務に集中できない。とはいえ、実働は頼光様と金時だから先ほど連絡したし問題ないのだが。
「こうしていると、昔のようだな」
馬鹿なことを言って、俺は彼女の頭を撫でた。
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短い。二人でこういうことができるのもカルデアは難儀ですね。
2021/2/21
2022/5/14 掲載