「おっさとうと、ミールク」
「うわぁ」
「なんです?」
オフィスの一画で、休憩時間にコーヒーにこれでもかと砂糖とミルクを入れている沖田ちゃんを見て、思わずつぶやく。いっつもなんだけどさ、改めて見るとこう、なんて言えばいいのかな……
「体に悪いよ?」
「そうですかね?」
何と言ったらいいか分からなくて出てきたのは「体に悪い」という自分で言ってもよく分からない言葉だったが、まあここまで砂糖入れたら体に悪い、かもしれない、と思って僕もサーバーからブラックのままのコーヒーをカップに注ぐ。
「ブラックの方が夜眠れなくなりませんか?」
「カフェイン……カフェインってやつね……。残業の時は大変お世話になっております」
「悲しそうに言わないでください。私も残業しますけどブラックでは飲みたくないですねぇ」
そうしみじみ言われてああ、と思って言ってみる。
「舌がお子様なんだね、沖田ちゃんは」
「……何とはなしにムカつく沖田さんでした」
「いいと思うよ、子供舌。可愛いじゃん」
軽く笑って言ったらにらまれた。まあそんな真っ白になりそうなコーヒー持ってにらまれても全然怖くありませんけどね、と思いながら一口ブラックコーヒーを飲む。
「甘い」
まだ怒っている沖田ちゃんに、そのブラックのはずのコーヒーが甘く感じられて、ぽつりとつぶやいた。