「で」
「おん」
「何がどうなったんや!?」

 実家に帰山したバカ息子を、八百造は思いっきり怒鳴りつけた。その隣で縮こまっている蝮はどうしようかというふうに思案していたけれど、特に良い策は思いつけなかった。

「資格取って、ついでに蝮も持ってきた」
「意味分からんわ!!!」
「行かず後家やねん」
「蝮ちゃんに失礼やろが!」

 蝮が蟒から持たされた手紙は、それはもう喜びと怨嗟に満ちていた。


 どの縁談も断り続けた蝮が、柔造さんやったらと首を縦に振った。うちは矛造さんを本山に出して、その上娘まで取られるのか。だけれど蝮は柔造さんならと言う。その気持ちは尊重したいが人たらしの家系は相変わらずのようだな……………


 続き続ける昔馴染みからの喜びと怨嗟ののし紙に、八百造は気が遠くなるのを感じた。蝮が悪い訳ではない。蝮ならいいとも。昔から知っている子だし、仏道にも通じているから理解がある。気立てもいい。
 だが、いろいろな順序をすっ飛ばした感は否めない。

「しゃあないやろ」

 法衣の襟元を掴まれた柔造は、へらっと笑って言った。

「初恋やねんから」




後書き