エメラルド
「え? 名前?」
考えたことなかった、と答えたらポルナレフは首を傾げた。そっちだってそうだろ、と言ってみたらその通りだったらしく困ったように言われる。
「だよなあ。タロットカードったって、承太郎のはアヴドゥルが付けたんだろ? それにしたってオレの戦車だってお前の法皇だって大アルカナには違いない」
「そりゃ、そうだけども……」
何だったかなぁ、とそれでもぼんやりと思い出せずに呟いてしまう。「ハイエロファント」、大アルカナ5番、法皇のカードの英語名だ。それに続けて、
「エメラルド……」
「……は?」
「ハイエロファント『エメラルド』。なぁんてね」
「何言ってんだ?」
「いや、多分だけど彼自身から教えてもらったんじゃなかったかな? 「ハイエロファント・グリーン」ぴったりでカッコいいだろ? 流石僕の相棒だけある」
そう少し誤魔化すように言ったら呆れたように、諦めたようにポルナレフに溜息をつかれてこの話は終わりだった。
エメラルドは鉱物としての硬度は高いが、内部に傷が多いために衝撃に弱くすぐに砕ける。
「内部の傷か……」
見透かされてたのかもね。
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