賭け事

「はあ!? 僕の魂を賭けた? それはまだいいが、ホリィさんの魂を賭けたってどういうことだい承太郎!?」
「いや、花京院はその場にいない訳だからと一応止めたんだがな。というかホリィさんの方がまだ正当性があるだろうとさえ思えたぞ、言っていることは筋が通っていると言えば通っていたからな」

 アヴドゥルにそう言われたが、納得いかない。僕はまだいい、戦線離脱していたわけで、何より。

「僕はいいとしてだ、別段その場にいても賭けてもらって構わなかったし、君みたいにポーカーでクソみたいな手札のままで勝とうじゃなくて賭け自体から下ろそうなんて思えるほどおめでたくないから」

 そう言ったが承太郎の顔は動かない。というか微かに笑っているのが本当に腹が立つ。

「理屈は分かる。確かにホリィさんを助けるためだからあそこで負けたら終わりだし、賭けるのも一理あるが、もう少し家族を大事にしたらどうだ?」

 そう吐き捨ててやって、それから「友人・花京院典明の魂を賭ける」と書かれた念書を握り潰す。何が友人だ。何が。


 ――だから。


「魂を賭けよう」

 それなら勝っても負けても魂一つで彼の腕は返ってくるだろう。何せ対価が魂だ。これ以上『友人』とやらの対価に上乗せできそうにないんでね。