「樺地くんと鳳くんと三人で、映画?」
「そうだ」
「じゃあ私たちと同じね」
そこに現れたのは日吉と朋香だった。
「待ち合わせ場所が樺地くんか…」
「ウス」
妙に納得したような杏と朋香に日吉はふふんと笑った。
「いや、日吉さんの功績じゃないでしょ」
的確に指摘しながら、朋香は手帳型のスマホケースから3枚チケットを取り出す。可愛いものが好きなのに、こういう実用性を求めるところが如才ないなと杏は思った。
「はい!前売り券はばっちり!あとは桜乃と合流して映画館へゴーです!」
「なんだそれ。甘ったるそうなタイトルだな」
「朋香ちゃんに当たらないでよ!私が見たいって言ったの!」
そのラブコメディ映画にケチを付けられて、杏が言えば、へえと日吉は人の悪い笑みを浮かべた。
「橘妹の趣味は随分かわいいな」
「うるさいわね、そういうアンタたちは何見るのよ?」
赤面しながら言い返せば、同じく発券を済ませてあるチケットをひらつかせて日吉は得意げに言った。
「ゾンビ物のホラーだ。連作の最終章でな、CGの作りもさることながらその内容の精巧さが」
「あーあー!私そういうの大っ嫌いなの!」
「ならお前に今までのストーリーを語って聞かせてやろう」
そう言ってガッと杏の腕をつかんだ全くかみ合っていない二人の会話というか、日吉の加虐趣味に仲裁に入ろうかと樺地と朋香が目配せした時だった。
「日吉!橘さんに何してるの?」
「朋ちゃん、杏さん、そろそろ時間だよ!」
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