「ハッピーハロウィン!」
「ハッピーハロウィンです!」
「ハ…ハッピーハロウィン…です」

 最後の桜乃だけ、ちょっと恥ずかしそうだが、テンションの高い二人につられるように桜乃も笑っている。三人の格好は三者三様。
 10月31日。ハロウィンである。


ハロウィンの夕べ


「よく来たなメス猫ども!」
「猫は杏さんだけです!」
「それは失敬!」

 呼びかけと、それから朋香の反撃にもテンション高く応じたのはこのパーティーの主催者、跡部である。なるほど彼の邸宅は、見事なまでにハロウィン仕様だった。

「すごい、跡部くん、よくここまで出来たね」

 興奮気味の杏が言ったら、跡部は当然だ、というように笑った。それから彼は、ちょっと首を傾げる。

「ちょっと遅かったな」
「女の子の支度は時間掛かるんです!」

 得意げに言って、朋香はスカートの裾をひらっとさせる。

「頑張っちゃったんだから。ね!」
「うん!」

 桜乃も、ちょっと照れたように応じて、それに跡部は満足そうにうなずいた。

「それじゃあ、お前ら、言うべきことは?」

 彼はそう言って、どこから取り出したのか、派手な色のキャンディをちらっと手に出した。


『Trick or treat!』




黒猫と青年科学者フランケンシュタイン(柳×杏)
飛べない魔女とシーツお化け(リョーマ×桜乃)
眠れる森の美女と仮面の王子(幸村×朋香)